少し話題としては古いですが、9月に伊藤園が第1種優先株式を発行しました。
優先株式というのは日本ではあまり馴染みがなく、
また伊藤園は安くなったら買いたいと思っていた優良企業なので、
勉強の意味も兼ねて調べてみました。
そもそも優先株式って何よ?
議決権がないなどの制限がある代わりに、
普通株よりも多く配当をもらえる株のことです。
以下、その権利内容〜
***********************************************
1. 優先配当・・・普通株の配当に25%上乗せしてもらえる。
2. 無配時優先配当・・・普通株が無配の時も1株あたり15円はもらえる。
3. 累積未払配当・・・上記の配当の支払が全額行われない時は、
未払い分を累積して、次回の権利確定日以降に優先的に支払われる。
4. 残余財産の分配・・・残余財産を分配する時は、
累積未払配当があればそれを優先的に分配され、
残りは普通株主と1株あたり同額で分配される。
5. 議決権・・・原則、ない(配当の支払が2年間滞った場合は別)
6.株式分割・併合・・・株式分割・併合が行われるときは、
普通株と同時に同じ比率で行われる。
または一方のみ分割し、片方には分割する種類の株式を無償で割り当てる。
7. 優先株に係る当期純利益・・・【優先配当の上乗せ分総額】
+【当期純利益から優先配当の上乗せ分を差し引いた残額】
×【優先株式数】÷【普通株と優先株の株数の合計】
7.はちょっと文章で書くと分かりづらいですが、
要は純利益から配当プレミアムを引いた残りは、
普通株と優先株で1株あたり等価に分けます、ということのようです。
と、まあこんな内容のようです。
***********************************************
今回、伊藤園が普通株主への優先株式の無償割当ての後に
公募と第3者割当て増資で資金調達を行っていますが、
それが予定通り行われたとして、普通株・優先株の株数と資金調達額は
以下のようになります。
発行済普通株式総数 91,212,380株
自己株式を除く普通株式 89,151,340株
第1種優先株式 35,246,962株
優先株発行による資金調達総額 144,139,200,000円
調達資金の使途の予定は、
設備資金 6,478(百万円)
コマーシャルペーパー償還資金 7,645(百万円)
(※フードエックス・グローブ株の取得資金)
運転資金 290(百万円)
との事です。
また、優先株発行により今期の配当予想が修正されていて、
従来予想(普通株のみ) 1株あたり年間50円
修正予想 普通株 1株あたり年間38円 優先株 1株あたり年間48円
となってます。
この修正にもとづく今期の配当金の増加額はおよそ418(百万円)となります。
調達資金に対する配当負担増加額の割合は約2.9%となり、
単純に現金負担だけ考えても、
借入れの方がコストは低かったのでは・・・という気がしますね。
また、1株利益の配分を見ても、配当額をみても、
普通株が割りを食った感は否めないですね
(もちろん、議決権の有無は数字では測れないものがありますが)。
今の普通株と優先株の価格差は、需給の問題や、議決権の問題など
様々な要因が絡み合っているのだとは思いますが、
数単元レベルでしか持てないような零細個人投資家にとっては、
現状、どちらかと言われれば、
優先株の方が魅力的な投資対象のように思えます。
*******************************************
〜追記〜
11/28に第三者割当増資の発行株式数の確定のIRが出ていました。
当初の予定通り、優先株式1,100,000株が発行されるみたいですね。