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  • 2015.08.31 Monday
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2009年版バフェットの手紙(2)

前の記事からずい分間が空いてしまいました。 ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイ社の株主に宛てて毎年のアニュアル・レポートの中で書いている手紙の最新版を翻訳してみようという試みの続きです。 原文は下記のリンクから閲覧できます。 2009年版アニュアルレポート http://www.berkshirehathaway.com/2009ar/2009ar.pdf 2009年版会長の手紙 http://www.berkshirehathaway.com/letters/2009ltr.pdf 今年の手紙の内容は。昨年11月に発表し、先日完了したバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道の買収により大幅に株主が増加したため、バークシャーの株主として知っておくべき事項の説明に多くが割かれています。 今回紹介する部分も「私達がやらないこと」と題して、バークシャーが他のアメリカの大企業と一線を画している企業統治の方針などを説明しています。 _________________________________________________________________ 私達がやらないこと  ずいぶん前のことですが、チャーリーが彼の最も強い大望を打ち立てました。「私が知りたいのは自分がどこで死ぬかということだけだ。そうしたらそこへは決して行かないから」 このちょっとした知恵は偉大なプロシア人数学者のヤコビが難解な問題を解く手助けとして「逆さまにしてみるんだよ、どんな時でも逆さまにしてみるんだ」と助言していたのに示唆を得たものです。 (この逆転のアプローチはより身近なレベルでも挙げることが出来ます。カントリー・ソングを逆さまに歌ってみてください。そうすればたちまちあなたは自分の車、家、そして奥さんを取り戻せるでしょう。)  ここでは、バークシャーにおいて私達がチャーリーの思考をどのように適用しているかの例をいくつか紹介します。 ●チャーリーと私は、たとえその製品がどんなに興奮するものであっても、その将来を評価出来ない企業を避けています。過去、自動車(1910年)や航空機(1930年)、そしてテレビジョン(1950年)といった産業に驚くべき成長が待ち受けているであろうことを見通すのに、卓越した頭脳は必要ありませんでした。 しかしその未来にはそれらの業界に参入してきたほぼ全ての企業を葬りさることになる競争のダイナミクスも包含していました。そして生き残った企業でさえも重傷を負って撤退する傾向にありました。 チャーリーと私がある業界についてこの先劇的な成長を遂げることがはっきりと見通せたからといって、その競合企業同士の戦いの首位に立つ企業の利益率や資本利益率がいくらになるか判断できるわけではありません。 バークシャーでは、私達はこの先数十年間の利益がかなりの程度予測可能であるビジネスに留まり続けます。たとえそうしたとしても、私達は数多くの失敗をすることになるでしょう。 ●私達は見知らぬ誰かの親切に依存するつもりはありません。「大きすぎて潰せない」はバークシャーの予備位置ではありません。 その代わりに、私達は常に何か問題が起こってどうしても現金が必要になった時は自身の流動性のごく一部で賄えるように備えています。 さらに、その流動性は継続的に私達の多数のそして様々な企業群からあふれ出る利益により供給されるでしょう。 2008年9月に金融システムが心停止状態に陥ったとき、バークシャーは金融システムに流動性と資本を懇願する側ではなく、それらを供給する側でした。 危機の最高潮に、私達はビジネスの世界に、私達以外では連邦政府しか助けの手を差し伸べられなかったであろう、155億ドルという金額を注ぎ込みました。 そのうち90億ドルは私達の目に見える形での信任票を一刻の猶予もなく必要としていた、高く評価され以前は安全であるとみなされていた3社の米国企業の資本増強に投じられました。 残りの65億ドルは、他のあちこちでは混乱が支配する中で中止されることなくリグレーの買収資金の援助に充てられました。 私達は当社の最高峰の財務力を維持するために法外な犠牲を払っています。当社が常時保有している200億ドル強の現金同等の資産からは現在わずかな利回りしか得られていません。 しかし、そのおかげで私達はぐっすり眠れています。 ●私達は概ね、多くの子会社を一切監督も監視もすることなく、独自の運営を任せています。 それにより、経営上の問題を発見するのが遅れたり、チャーリーや私に相談していたなら賛成しなかったであろう事業運営・資本配分上の決定がなされたりすることが時としてあります。 しかし、当社の大部分の経営者達は私達が与えた独立性を大いに活用しており、大規模な組織では滅多に見られない貴重な株主本位の姿勢を維持することで私達の信任に報いてくれています。 私達は息の詰まるような官僚主義のせいで決断がなされるのがあまりに遅い―あるいは全く行なわれない―ことによる多くの見えざるコストよりも、ごく少数の誤った決断による目に見えるコストで苦しむ方がマシだと考えています。 BNSFの買収に伴って、私達は今や約257,000人の従業員と文字通り何百もの異なった事業単位を有しています。私達はそのどちらももっと欲しいと願っています。 しかし私達はバークシャーがいくつもの委員会や予算プレゼンテーションや何重もの管理職であふれ返るような集団になることは決して許しません。 その代わりに、私達は個別に経営され、ほとんどの意思決定が現場レベルで行なわれる、中規模から大規模なビジネスの集合体として運営していくことを計画しています。 チャーリーと私は自身の責任を資本配分、企業リスクのコントロール、経営陣の選任そして彼らの報酬を決定するのみに制限しています。 ●私達はウォール街の指示を集める試みは一切していません。メディアやアナリストの解説に基づいて売り買いを行なう投資家は私達の望むところではありません。 その代わりに私達は、自身の理解でき、その方針に共感できるジネスに長期投資したいと願うパートナーとしてバークシャーに加わってくれる人々を求めています。 もしチャーリーと私が数人のパートナーと小さなベンチャーを始めるとしたら、私達は共通の目標および運命を共にすることで株主と経営者の間の幸せなビジネス上の「結婚」が出来ると知っていて、自分達に共感してくれる人達を探すでしょう。規模が巨大になったとしても、その真実は変わりません。 気の合う株主集団を構築するために、私達は株主の方々と直接的そして有益な情報を伝えるよう務めています。 私達の目標はもし我々の立場が逆であったら知りたいと思うことを皆さんに伝えることです。 それに加えて、私達は四半期及び年次の財務情報を、株主の方々、そしてその他の投資家たちに取引のない日に当社の多面的な企業体に何が起こったかを読みこなす十分な時間を持てるよう、週末の朝早くにインターネット上で開示するよう務めています。 (時には、SECの報告書提出期限の関係でやむを得ず金曜日以外の開示になる場合もあります。) こうした事柄は2、3の段落では十分に要約することも、ジャーナリスト達が時として捜し求めるような目を引く見出しにすることも出来ません。 昨年私達はサウンドバイトがいかに誤って報道されるかという一つの例を目の当たりにしました。昨年の手紙の12,830語の中に、以下のような文がありました。 「たとえば、私達は経済が2009年を通じて沈降するだろうと確信を持って言えますし―そしてこの点に限れば、恐らくそれ以後もさらにそうなるでしょう―しかし、その結論は私達に株式市場が上がるか下がるかといったことは教えてくれないのです。」 多くの報道機関は、この文章の前半部分のみを、それがどのように締めくくられているかには一切触れないままに報道し―実際のところは、騒ぎ立て―ました。 これは恐るべきジャーナリズムだと、私は思います。 誤った情報を伝えられた読者や視聴者達は、チャーリーと私が株式市場が悪い方に動くと予見していると考えたかも知れませんが、私達は件の文章ではもちろんのこと、他の場所でも市場の予想は一切していないと明言していました。 煽情主義者に誤って導かれた投資家は大きな対価を支払いました。ダウ平均は昨年の手紙が公開された日に7,063の終値でしたが、昨年末には10,428の終値でした。 私達が経験したこのような体験をいくつかすれば、なぜ私が皆さんとのコミュニケーションが出来るだけ直接的かつ省略されない形であることを好むのか理解して頂けると思います。 *********************************** それでは、バークシャーの事業の詳細をみていきましょう。 当社には大きくわけて4つの事業部門があり、それぞれ他部門とは異なるバランスシートや損益計算書勘定となっています。 それゆえ、標準的な財務諸表のようにそれらを一つにまとめてしまうことは、分析の妨げとなってしまいます。 ですから、チャーリーと私が眺めているのと同様、これらを4つの切り離された事業体として紹介していきます。 _________________________________________________________________ 以上で、今回の段落は終わりです。 一昨年の金融危機の最中にバークシャーがゴールド万・サックス、ゼネラル・エレクトリック、リグレーへの大型出資を行なったというのは大きなニュースになりましたが、改めてそれが可能だったバークシャーの財務力と常日頃からの慎重さ、チャンスとみるや迅速に行動に起こせる機動力を感じさせる一件だったと思います。 また、昨年のバフェット氏の手紙の内容を報道機関が部分的に取り上げ、誤解を招くような形で報道した、と述べています。 確かに、マスコミに頻繁に取り上げられる大富豪バフェット氏の発言は、時に本人が意図しない形でセンセーショナルに報道されることはあるんでしょう。 バフェット氏もこの手の報道には憤慨されているようで、バークシャーの株主にはどうかそのようなニュースには耳を貸さないで欲しいという思いが感じられます。 (続く)

2009年版バフェットの手紙(1)

2月27日(土)に、バークシャー・ハザウェイの2009年版アニュアルレポートと バフェット氏が株主にあてて毎年書いている「会長の手紙」が公開されました。 2009年版アニュアルレポート http://www.berkshirehathaway.com/2009ar/2009ar.pdf 2009年版会長の手紙 http://www.berkshirehathaway.com/letters/2009ltr.pdf 昨年に引き続き、今年もバフェット氏の機知に富んだ手紙の翻訳に挑戦してみたいと思います。 原文自体もA4用紙18ページと長いため、今回もパラグラフ毎に区切って記事をエントリーしていきます。 まずは、第1パラグラフと第2パラグラフまでを紹介します。 *************************************************** バークシャー・ハザウェイの株主の皆様へ:  2009年中の当社の純資産の増加額は218億ドルとなり、それにより当社のクラスA株式及びクラスB株式の1株当たり簿価(純資産)は共に19.8%増加しました。過去45年間で(すなわち、現在の経営陣が経営権を取得して以来)、1株当たり純資産は19ドルから84,487ドルに、年率にして20.3%複利で成長してきたことになります。(※)  バークシャーがつい先日行なったバーリントン・ノーザン・サンタフェ社(BNSF)の買収により、少なくとも65,000人の株主が、約500,000人の既存株主に加えて当社の株主名簿に記載されることになります。私の長年のパートナーであるチャーリー・マンガーと私にとって、当社の全ての株主がバークシャーの事業、目標、限界、そして文化について理解してくれることが重要です。したがって、私達は毎年のアニュアル・レポートの中で私達を導いてくれる経済的原則を繰り返し述べています。今年は、それらの原則は89ページから94ページに記載されており、私はそれをぜひとも全ての方々に―ただし今年は特に、新たに株主となった方々に―読んで頂きたいと願っています。バークシャーはこれらの原則に何十年間も忠実であり、そして私が去って後もずっと忠実であり続けるでしょう。  この手紙の中で、当社のビジネスの基礎についても説明していきますが、それがBNSFからの新規株主の方々にとっては新入生のオリエンテーション授業に、またバークシャーのベテラン株主の方々にとっては再教育講習となってくれることを願っています。 どのように自己の成績を測定するか  経営陣のパフォーマンスを評価するための当社の測定基準は、この手紙の表紙に記載されています。当初から、チャーリーと私は私達が何を達成した―または何を達成できなかった―かを測定するための合理的かつ不変の基準を持つべきだという信じてきました。それにより、私達はパフォーマンスを測る矢が壁に刺さったのを見届けて、その後に矢の周りに的の中心円を描くという誘惑から逃れています。  S&P500を私達にとってのボギー(基準点未満)として選んでいるのは、当社の株主の皆さんはインデックス・ファンドを保有することによって実質的にコストゼロで、簡単にそれと同等のパフォーマンスを得ることが出来るからです。それと同じ結果を得るためだけに、どうして私達にお金を支払う必要があるでしょうか?  私達にとってより判断が難しいのは、S&P500に対するバークシャーの推移を、どのように測定するかという点です。単に当社の株価の騰落を用いればよいという主張もあります。実際、非常に長い期間をとってみれば、それが一番の測定法です。しかし1年毎でみると、株価の推移はいちじるしく気まぐれなものです。たとえ10年間という期間をとったとしても、測定期間の始まりと終わりがばかばかしいほどの高値や安値であれば、その評価はいちじるしく歪められてしまいます。マイクロソフトのスティーブ・バルマーやGE(訳注:ゼネラル・エレクトリック)のジェフ・イメルトも、経営者としてのバトンを渡された時期に自社の株式がすっ高値で取引されていたせいで彼ら自身悩まされたこの問題について語ってくれることでしょう。  私達の年次の進展具合を測定するのに理想的な基準とは、バークシャーの1株当たりの内在価値の変化でしょう。哀しいかな、その価値は正確な数字を求めることは出来ません。ですから、私達はその代わりにかなり粗い近似値を使用しています。それが1株当たり簿価(純資産)です。この指標に頼ることには、92ページおよび93ページで述べているように欠点もあります。 加えて、多くの企業の簿価は内在価値を過小にしか表しておらず、そしてそれはまさにバークシャーにもあてはまります。概して、当社の企業群はその帳簿に記載されている価値よりもかなり高い価値を有しています。さらに当社の非常に重要な保険ビジネスに至っては、その差は巨額です。たとえそうであっても、チャーリーと私は当社の簿価が―過小評価ではありますが―内在価値の変化を追跡するための最も有用な指標であると考えています。この測定法によると、この手紙の最初の段落で述べている通り、当社の簿価は1965会計年度の期初以来、年率20.3%複利で成長してきたことになります。  ここで、もし当社の株価を指標に選んでいたとすれば、1965会計年度の期首以来年率22%複利の伸びを示しており、バークシャーの成績はよりよく見えるであろうことを述べておかなければなりません。驚くべきことに、この年率でみるとわずかな差が、45年間を通じてみると簿価の上昇率が434,057%(2ページ目参照)であるのに対して、株価では801,516%もの上昇率となっているのです。この株価の上昇率は1965年にはバークシャー株は収益性の低い繊維業の資産を妥当に反映して簿価以下の株価がついていた一方で、現在ではバークシャー株が常にその傘下の一流の事業群の帳簿価値に対してプレミアムがついて取引されていることに因るものです。  要約すると、2ページの表からは3つのメッセージが読み取れます。そのうち2つはポジティブなもので1つはネガティブなものです。第1に、1965年〜1969年に始まり、2005年〜2009年に終わるどの5年間―41の組み合わせがありますが―をとってみても、それぞれの期間において当社の簿価の上昇率がS&Pの上昇率を上回らなかった期間は一つとしてありません。第2に、市場が上昇した年のうち数年においては当社はS&Pに遅れをとっていますが、市場が下落した11年間においては当社は常にS&Pよりも良い結果を残してきました。別の言葉で言い換えれば、当社の防御は攻撃よりも良く、そしてこれからもその傾向は続きそうだということです。  大きなマイナスは、当社のパフォーマンス上の優位は当社の規模が大きくなるにつれて劇的に減少してきており、そしてこの面白くない傾向は今後も確実に継続するという点です。もちろん、バークシャーは多くの傑出したビジネスと、才能を最大限に引き出してくれる非凡な企業文化の中で仕事をしている、本当に優秀な経営者集団を有しています。チャーリーと私はこれらの要素が、時とともに平均より上の結果をもたらしてくれると信じています。しかし巨大な塊は自分自身の足を引っ張る錨となり、当社の将来の優位性は、たとえあったにせよ当社の歴史上の優位からみればごくわずかなものになることでしょう。 ____________________________________________________ (※)このアニュアル・レポート内の全ての1株当たり数値はバークシャーのクラスA株式のものである。クラスB株式の1株当たり数値はA株の1500分の1である。 *************************************************** 昨年後半、バークシャーは同社史上最大規模となるバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道の買収を発表しました。 この買収は年が明けてつい先日完了しましたが、支払いの一部に株式交換を用いて買収したことにより、バークシャーの株主数は大幅に増加することになりました。 以前からそうですが、バフェット氏は同社の株主が増加する度に手紙の中で新しい株主に向けてバークシャーの原則や目標を理解して欲しいとメッセージを投げかけています。 このOwner's Manualは上にリンクを貼ったアニュアル・レポートに毎年記載されている他、日本語版はバフェットからの手紙(Amazonリンク: http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99-%EF%BC%8D-%E3%80%8C%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%80%85%E3%80%8D%E3%80%8C%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6%E3%80%8D%E3%80%8C%E5%B0%B1%E8%81%B7%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E8%80%85%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9-%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%A0/dp/4939103218/ref=pd_rhf_p_t_1)にも載っています。 (続く)

『バフェット・コード』

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89-%E8%8D%92%E4%BA%95-%E6%8B%93%E4%B9%9F/dp/4532353602/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1244894764&sr=8-1 今週発売されたばかりのいわゆる「バフェット本」の最新刊です。 著者は「フィッシャーの『超』成長株投資―普通株で普通でない利益を得るために」の共訳者である、荒井拓也氏。 世の中に「バフェット本」は数多あれど、翻訳本ではない日本人によるバフェットをメインテーマにした著書は少なく、これまでに出版されている僕の知る限りでは三原淳雄氏の「お金持ちになるためのバフェット入門」、牧野洋氏の最強の投資家バフェット(旧版題:バフェット―「米国株式会社を動かす男」)の2人の著作しかありません(他に2種類ほど、マンガ本が出版されてはいますが)。 内容ですが、前半部分ではバフェットがバークシャーの会長として株主宛に手紙を書き始めた1977年から現在までのバークシャーのポートフォリオ(毎年の手紙の中で公開されている)の動きを追いながら、バフェットが投資判断を行なう上でどのようなことを考えていたのか、ということを解き明かしています。 後半では「バフェット・システム」「バフェット・コード」と題して、バフェット流投資の全体像をひも解くと同時に、バフェット流を真似ようとする一般投資家が陥りがちな罠を指摘しています。そしてまとめとして、バフェット流投資判断の決め手をシンプルな一つの式に集約しています。 〜〜読後の感想〜〜 前半部分はバフェットの(バークシャーを通じての)株式ポートフォリオの変遷が一冊で眺めることが出来て、それだけでも面白いかも知れません。 また、後半部分では筆者がバフェット流投資の唯一の公式として「バフェット・コード」、「バフェット数式」なる概念を展開しています。 といっても、DCF法による企業価値と時価を比較するという既知の手法なのですが、 筆者はこの手法を難しい言葉や数字は一切使わずに、実にシンプルに表現しています。 そして従来のバフェット本で断片的にしか取り上げられて来なかった投資先の「ブランド力」、「競争優位性を維持するための堀」、「ROE」、「優れた経営陣」、「成長力」、「財務力」といったあらゆるファクターを考慮することで、将来キャッシュフローの見積もり精度を上げリスクを排除し、それをたった一つの「バリュー方程式」にまとめている、と筆者は述べています。 特に後半部分に関しては色々賛否両論分かれる内容かも知れません。 しかし時として一つの側面のみがクローズアップされ、誤って解釈されがちなバフェットの投資手法を多面的にとらえながらも、これ以上ないほどのシンプルな一つの式にまとめようとする試みは、面白いと思いました。 また、バフェット・コードはその適用においては非常にプライベートなものであり、バフェットにとってある銘柄がバフェット・コードにあてはまるものでも、他の人には必ずしもあてはまるとは限らないと筆者は述べています。だから、バフェット流投資に学ぼうとするなら自分の「バフェット数列」を探す必要がある、と述べているのは共感できました。 本の帯に書かれている「投資上級者必携の”バイブル”」というのは少々大げさかも知れませんが(笑)、他の様々なバフェット本を読んだ後で読むと、この本のシンプルすぎる(※簡単ではありませんが)結論にスッキリ出来るかも知れません。

遊びでトータルリターン比較

ふと、日本株(個別銘柄)のトータルリターンってどんなもんなんだろう?と思い、試しに計算してみることに。 今回は思いつきなので、長期投資に向きそうなディフェンシブ銘柄で自分が興味ある中から選んで計算してみました。 従って、統計的な有意性や客観性には欠けていますのであしからず。 ※「トータルリターン」のここでの定義は、ある時点で個別銘柄を1単位だけ購入後、 配当金は受取る度にその日の終値で再投資し、 一定期間後にその投資元本に対する利回りを複利年率換算した利回りのことです。 今回計算してみたのは、 2268 B−R サーティワン アイスクリーム 2540 養命酒製造 4502 武田薬品工業 の3銘柄です。 各銘柄の購入株数・購入金額の最下列の数値は、配当金による回収額とその再投資による増加株数です。 また、養命酒製造だけ10年分の株価データが手に入らなかったので、9年分となっています。 (画像参照) こうして眺めてみると、サーティワンが意外なほど高リターンを叩き出しているのに対して、 武田薬品工業はこれまた意外なことに配当再投資込みでもマイナスの利回りとなってしまっています。 サーティワンは初期投資の1998年頃が長い低迷の底付近で、 その後業績が急回復してバリュエーションの再評価が高止まりしたのに対し、 武田薬品は10年前から医薬品業界トップとして認知されており、 バリュエーションは当時から相応に高かったことが災いしたと考えられます。 日本最強クラスの優良銘柄といえども、ある一定期間を区切ってみると、その時々の株価水準次第でこういう結果になることもあるといういい例になるんじゃないでしょうか。 念の為に付け加えれば、配当再投資という手法の真価は10年という期間でもまだ短い方だと思いますし、 今のような株価水準は現時点での利回りこそ悪化しても配当再投資による株式増加速度は(特に配当が減らなければ)増すので過去10年間の武田薬品への投資が悪いものだった、などと言いたいわけではありません。 ところで、地味ながら養命酒製造の健闘ぶりも素晴らしいですね。 トータルリターンで年率4.5%というと大したことないように思われるかも知れませんが、 同じ期間に大型優良銘柄でさえ大きく値を崩しているような状況で、 一貫した投資収益をもたらしていることは評価に値するのではないでしょうか。

2008年版バフェットの手紙(11)-2【最終回】

ウォーレン・バフェット氏が毎年、バークシャーのアニュアル・レポートの中で 株主にあてて書いている手紙の2008年版、その翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 今回はとうとう最終回。 バークシャーの株主総会についての章の続きです。 株主総会のメインイベントとなっている、株主からの質問にバフェット氏とマンガー氏が答える「質疑応答タイム」の進行方法が今年から変更になるようです。 ******************************************************************                         ************  今年は、株主総会での質疑応答時間の進行方法を大きく変える予定です。近年、私達はバークシャーとその事業に直接関連のある質問を、ほんの一握りしか受けませんでした。昨年はそういう質問は実質的に一つもありませんでした。ですから、私達は討論をバークシャーのビジネスについてのものへと戻すよう軌道修正する必要があります。  関連した問題の中に、午前7時に開扉するなり、質問者用の12個のマイクに真っ先に並ぼうとする人達を先頭に、狂ったような突進が起こっていました。このことは安全上の見地から望ましくありませんし、私達は短距離走の能力が誰が質問をするかの決定要素であるべきだとも思いません(78歳にして、私は足の速さが過大評価された才能であるという結論に至りました)。ここもまた、新しい方法が望ましいでしょう。  一つ目の変更として、代表的な新聞や雑誌、テレビといった機関から数人の金融ジャーナリストが質疑応答時間に参加し、チャーリーと私に、株主がEメールで送って来た質問を訊ねることにします。このジャーナリストとEメールアドレスは以下の通りです。キャロル・ルーミス、フォーチュン誌、cloomis@fortunemail.com;ベッキー・クイック、CNBC、BerkshireQuestions@cnbc.com;アンドリュー・ロス・ソーキン、ニューヨーク・タイムズ誌、arsorkin@nytimes.com。送られてきた質問の中から、それぞれのジャーナリストがもっとも興味深く、重要だと判断した質問を1ダースあまり選びます(Eメールを送る際には、あなたの質問が選ばれた場合、あなたの名前を出しても良いかどうかジャーナリストに分かるよう明記して下さい)。  チャーリーも私も、訊ねられる質問についての手がかりは全くもらえません。私達はジャーナリスト達がタフな質問をいくつか選んで来ると知っていますし、それは私達の望むところです。  二つ目の変更として、自分で質問をしたいと希望する株主の為に、各マイクについて、8時15分から抽選を行ないます。株主総会では、ジャーナリストからの質問と抽選で選ばれた株主からの質問とを交互に行なっていきます。従って、少なくとも質問の半分は――皆さんが送る質問の一団から選ばれるものは――確実にバークシャーに関連するものとなります。私達はその一方で、観衆の中からの良い――ことによると愉快な――質問にも引き続きお答えしていきます。  それでは、私達の資本主義者のためのウッドストックに参加し、私達にこの新しい方式が気に入ったかどうかを知らせて下さい。チャーリーと私は皆さんにお会いするのを心待ちにしています。 2009年2月27日               ウォーレン・E・バフェット                        取締役会長 ****************************************************************** 近年のバークシャー株主総会での質疑応答が バークシャーのビジネスとは関係のないものになっていた、というのは、 この間、日本語版が出版された『バフェットの株主総会』 http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6%A0%AA%E4%B8%BB%E7%B7%8F%E4%BC%9A-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BA/dp/4767808197/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1240047052&sr=8-1 の中で著者のジェフ・マシューズが指摘していました。 やはりこの点については他ならぬバフェット氏も危惧していたようで、 あらかじめ金融ジャーナリスト宛に株主から質問を送ってもらい、 バークシャーのビジネスに関連のある質問だけを総会で質問してもらう という形式に変更するようです。 質問の内容については、バフェット氏もマンガー氏も一切事前に知らされることはない、というのはこれまでの形式と同じであり、公平なやり方になっています。 その一方で、質問の半数は従来通り会場に来た株主からの質問も受け付けるという点は バフェット氏の株主への配慮の表れ(過去の総会で、ビジネスと関係ない質問をした株主達を否定しないという意味で)とも感じられました。 これで2008年版バフェットの「バークシャー・ハザウェイ株主への手紙」の全文和訳は終わりです。 バフェット氏が30年以上にわたってバークシャー・ハザウェイの会長として毎年アニュアル・レポートの中で書いている株主への手紙は、同社のホームページ(http://www.berkshirehathaway.com/letters/letters.html)から原文を読むことが出来ます。 また1996年までの手紙の内容は、 『バフェットからの手紙(ローレンス・A・カニンガム編著、増沢浩一・監訳、PanRolling社)』 http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99-%EF%BC%8D-%E3%80%8C%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%80%85%E3%80%8D%E3%80%8C%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6%E3%80%8D%E3%80%8C%E5%B0%B1%E8%81%B7%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E8%80%85%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9-%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%A0/dp/4939103218/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1240047221&sr=1-1 として日本語版も出版されています。 その後、1997年〜2006年までの手紙をカバーした改訂版も、原書では既に出版されているようです。 今回、その最新版をより多くの日本人にタイムリーに近い形で 読んでもらえたら、と思って挑戦し、何とか最後まで訳し終えることが出来ました。 また自分で読むだけではなく、日本語訳文を書いてみることで あいまいだった理解が鮮明になるなど、得るものも多くあった気がします。 ここまで長文にも関わらず読んで下さった方々、お疲れ様です。 そして、ありがとうございました。 (了)

2008年版バフェットの手紙(11)-1

ウォーレン・バフェット氏が毎年、バークシャーのアニュアル・レポートの中で 株主にあてて書いている手紙の2008年版、その翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 今回はいよいよ最終章、もはやバークシャー名物となっているオマハでの株主総会の案内です。 出来れば1つの記事に収めたかったのですが、文字数制限を超えてしまったので2つに分けることにします。 ****************************************************************** 年次株主総会 今年の当社の株主総会は5月2日(土)に開かれる予定です。いつものように、クェストセンターは午前7時に開扉し、新しいバークシャーの映画が8時30分から上映される予定です。9時30分からそのまま質疑応答の時間に入り、(クェスト内のスタンドでの朝食休憩を挟んで)午後3時まで続けます。その後、小休憩を挟んで、チャーリーと私は株主総会を3時15分から招集します。もしその日の質問時間中に席を離れると決めたのでしたら、どうかチャーリーがしゃべっている間にそうして下さい。  もちろん退席する最高の理由は、買い物に行くことです。私達は総会会場に隣接する19万4300平方フィートのホールをバークシャー子会社の製品で埋め尽くして、それを手助けしようと思います。昨年、株主総会に来場した31,000人の人々は各々の役目を果たし、ほぼ全ての場所で売上記録を樹立しました。しかし皆さんはもっとやれるはずです(これは友好的な警告です:もし売れ行きが悪いことに気づいたら、私は出口を施錠します)。  今年は、クレイトンはショウ(※訳注:同じくバークシャー子会社のショウ・インダストリーズ社)のフローリング、ジョンズ・マンビルの絶縁材、ミテックの留め具を使用した新しいi-houseを展示する予定です。この革新的な「グリーン(※訳注:環境にやさしい)」住宅は、太陽電池パネルやその他多くの省エネルギー製品を備えており、まさに未来の住宅といえます。この住宅がオマハのような地域に設置された場合、電力と暖房にかかる概算コストは、1日当たりわずか約1ドルです。このi-houseを購入したら、次は傍に展示してあるフォレスト・リバーのRV(レクリエーショナル・ビークル)とpontoon boat(訳注:組み立て式の手漕ぎゴムボート)の購入も考えるべきです。あなたの隣人を嫉妬させて下さい。  ガイコは国中から大勢のトップ・カウンセラーを揃えたブース設けて、全員が皆さんに自動車保険の見積もりを提供する用意が出来ています。ほとんどの場合、ガイコは株主割引価格(通常8%)を提供することが出来ます。この特別価格の提供は私達が営業を行っている50の管轄区域のうち、44の区域で許可されています。(一つ補足事項があります:この割引は他の割引、たとえばある団体割引などの資格を持っている場合には付加することが出来ません。)あなた方の既存の保険の詳細情報を持参して、私達があなたのお金を節約出来るかどうか調べてみて下さい。最低でも皆さんの中の50%については、それが可能だと信じています。  土曜日、オマハ空港では、皆さんによく見てもらえる様、例年通りネットジェットの飛行機を陳列する予定です。クウェスト内のネットジェッツ社のブースで立ち止まって、これらの飛行機の見方について学んで下さい。オマハにはバスで来て下さい、そして帰りはあなたの新しい飛行機で帰って下さい。そして、キクト(※訳注:バークシャー子会社のスコット・フェッツァー・グループの内の1社)の子会社の展示会で買ったギンスナイフを――中身を出して見るのを怖がらないで――持ってみて下さい。  次に、もしまだお金が残っていれば、ブックワームに行ってみて下さい。そこでは約30種類の本とDVDを販売しています。知識への渇望が持ち運べる荷物の量を超えてしまった方のために、郵送サービスもご利用いただけます。  最後に、展示会場には過去からやって来た1台と、未来からやって来た1台を含む、計3台の魅惑的な自動車を設置する予定です。当社子会社TTIのCEOであるポール・アンドリュースが、かつては、リグレー社の買収における私達の新たなパートナー達の母および祖母であるフォレスト・マーズ・シニア氏夫人の所有物であり、現在は彼が所有する1935年版デューセンバーグを持ってきてくれます。未来の一台は当社が10%の持分を有する驚くべき中国企業であるBYDが開発した、新型のプラグイン電気自動車です。  この報告書と共に同封されている株主総会召集通知の添付プリントには株主総会やその他のイベントへの参加に必要な入場証の入手方法の説明が書かれています。飛行機、ホテルそしてレンタカーの予約については、私達は皆さんへの特別な手助けとして、今年もまたアメリカン・エクスプレス(800-799-6634)と契約しました。これらの問題を統括しているキャロル・ペンダーソンは、毎年素晴らしい仕事をしてくれており、私は彼女にそのことを感謝しています。ホテルの部屋は見つけるのが困難でしょうが、キャロルと共に探せば、きっと見つけられるでしょう。  ドッジ通りとパシフィック通りの間の72番街に77エーカーの敷地を構えるネブラスカ・ファニチャー・マートは今年もまた「バークシャーの週末」値下げセールを行ないます。私達はこの特別イベントを12年前に始め、そして「週末」の間の売上は1997年の530万ドルから2008年の3330万ドルまで成長しました。その週末の土曜日には、1日の売上記録720万ドルを達成しました。どの小売業者にでもいいので、そのような売上高をどう思うかきいてみて下さい。  バークシャーの割引を受ける為には4月30日(木)から5月4日(月)までの期間中に買い物をする必要があり、また株主総会への入場証を提示する必要があります。期間中の特別価格は、普段は割引に対して非常に厳格なルールがあることで有名な製造業者の製品にまで適用されます。彼らは私達の「株主の週末」の精神に則って、皆さんの為に例外を設けてくれたのです。私達は彼らの協力に感謝しています。NFMは月曜日から土曜日までは午前10時から午後9時まで営業しており、日曜日は午前10時から午後6時まで営業しています。今年の土曜日には、午後5時30分から8時まで、NFMで西部式の屋外パーティが催され、皆さんはどなたでもご参加頂けます。  ボーシャイムズ(※訳注:バークシャー子会社の宝石店)では、再び2つの株主限定イベントを催します。1つ目は5月1日(金)午後6時から10時までのカクテル・レセプションです。2つ目は、メインの祝祭が5月3日(日)午前9時から午後4時まで催されます。土曜日は、午後6時まで営業しています。  ボーシャイムズでは週末の間はずっと、大変な混雑が予想されます。ですから、皆さんの便宜をはかって、4月27日(月)から5月9日(土)まで株主優待価格でご購入いただけるようにしています。その期間中は株主総会への入場証、またはあなたがバークシャーの株主であることが分かる売買取引明細書を提示して身分証明をして下さい。  日曜日、ボーシャイムズの外のモールでは、過去2度全米チェス王者に輝いたパトリック・ウォルフが目隠しをして、希望する来訪者どなたとでも――その人達は目を大きく開けたままです――6人同時に相手をしてくれます。その近くでは、ダラスから来た非凡なマジシャン、ノーマン・ベックが見物人を混乱させてくれます。さらに、日曜日の午後には世界最高のブリッジの達人の2人であるボブ・ハマンとシャロン・オズバーグが株主の方々とブリッジをプレイしてくれます。  ゴラッツ(※訳注:バフェットが長年お気に入りのステーキハウス)は再び、バークシャー株主の為だけに、5月3日(日)に営業してくれます。昨年ゴラッツでは、株主の為の日曜日に、240席の店舗で975食のディナーを給仕しました。3日間の合計は、通に好まれるメイン料理のTボーン・ステーキ702枚を含む、2,448食でした。どうか、フォアグラを注文して私を困惑させないで下さい。以下のことを忘れないで下さい:その日にゴラッツに入店する為には、予約をする必要があります。予約をとるには、4月1日に402-551-3733へ電話をかけて下さい(ただし、前日までにかけても予約は出来ません)。  私達は今年もまた土曜日の午後4時に、北米以外から来られた株主の方々の為の歓迎会を催します。毎年、私達の株主総会は世界中から多くの人々を引きつけており、そしてチャーリーと私ははるばるやって来た方々に個別に挨拶をすることをお約束したいと思います。昨年、私達は何十もの国からやって来た700人以上の方々とのご対面を楽しみました。アメリカとカナダ以外の地域からやって来られる株主は皆、この行事に参加するための特別な入場証と説明書を受け取ることになります。 ****************************************************************** 前半部分はバークシャー子会社の製品・サービスが購入できる、 株主総会会場に隣接したホールでのバザールの案内と、 株主総会前後の期間中に地元オマハにある子会社の店舗での株主優待セールやイベントについての案内です。 例年のことですが、バフェット氏がジョークを交えながら子会社の宣伝をして、 株主からもしっかり売上を上げている辺りは商魂逞しさを感じます。 今年変わった点といえば、昨年バークシャーが出資した、 チューインガムメーカーのリグレーや 中国の電池メーカーBYD関連の出展があることでしょうか。 どれもこれも面白そうなイベントでいつか参加してみたいですが、 近年では参加者が増えたおかげでどこもすごい混雑になっているようで、 ホテルや飛行機の予約を取るのも一苦労どころか二苦労、三苦労のようです。 アメリカ国内からでさえ、金持ちでない人はヒッチハイクなどでやってきて、 テント泊まりで参加している様子をYoutubeで見ましたし・・・・・・。 次回はいよいよ本当の最終回になります。株主総会での質疑応答の方法変更についての説明になっています。 (続く)

2008年版バフェットの手紙(10)-4

ウォーレン・バフェット氏が毎年、バークシャーのアニュアル・レポートの中で 株主にあてて書いている手紙の2008年版、その翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 長かったデリバティブについての章も、今回が最後です。 今回は、前回でも少し触れられていたオプションなどの金融商品のフェア・バリューを計算するのに広く用いられているブラック・ショールズ式が、 長期間の契約の現在価値を評価するのには適していないことをわかりやすい例を用いて説明しています。 ******************************************************************  ブラック・ショールズ方程式は金融界における聖書のような地位に近づいてきており、そして当社ではそれを財務諸表作成上の目的で株式プット・オプションを評価する際に使用しています。その計算の際のカギとなる数値は、契約の満期期間とストライク・プライス(オプションの権利行使価格)、アナリストのボラティリティの予想値、金利そして配当金です。  しかしながら、方程式をより長い期間について適用すると、馬鹿げた結果が生み出されてしまう可能性があります。公平を期すために言いますが、ブラックとショールズはほぼ確実に、この点をよく理解していたでしょう。しかし彼らの献身的な信奉者達は、2人が初めてこの方程式を公表した時に付け加えた注意事項を全く無視しているのかも知れません。  ある理論を極端な例で試してみることはしばしば有効となります。そこで、私達がS&P500種のプット・オプションを、期間100年間、10億ドル、ストライク・プライスは903ポイント(2008年12月31日時点の同指数の水準)で売ったと仮定してみましょう。私達が結んだ長期の契約期間中のボラティリティの予想値を使用するとともに適切な金利と配当を想定すると、私達はこの契約に対するブラック・ショールズ方程式による「妥当な」プレミアムが250万ドルであると導き出せるでしょう。  そのプレミアムの合理性を判断するためには、私達はS&P指数が今から1世紀後に今日よりも低い値をつけているかどうかを査定する必要があります。確実に、その時のドルは現在の価値よりもごく小さな価値しかないでしょう(たった年率2%のインフレでも、100年後にはおよそ14セントの価値しかない計算になります)。したがって、このことは指数の額面価値を押し上げる要因になるでしょう。しかしながら、さらに重要なことは、100年間の留保利益は指数に含まれるほとんどの企業の価値を非常に大きく増加させるだろうということです。20世紀中、ダウ・ジョーンズ工業平均株価は約175倍になり、その主な要因はこの留保利益によっていたのです。  あらゆることを考慮した上で、私は100年の間に指数が下落する確率は1%よりもはるかに少ないと信じています。しかし、その数字を用いて、最も起こり得そうな下落――万一に起こるとすれば、ですが――が50%であると想定してみましょう。私達の契約についての数学的な損失の期待値は、500万ドルとなります(10億ドル×1%×50%)。  しかし私達が理論的なプレミアムの額である250万ドルを前払いで受け取っているなら、私達は損失の期待値を埋め合わせるために、わずか年複利0.7%で投資すればよいことになります。それ以上を上回る投資収益は全て私達の利益になるのです。100年間、金利0.7%でお金を借りてみたくはありませんか?  私の示した例を最悪のケースの観点から見てみましょう。私の想定が正しければ99%の確率で私達は何も支払わなくてよいでしょう。しかし残り1%の確率に当たるという最悪のケースでさえも――つまり、10億ドルの全額を失うと想定しても――私達の借入コストはわずか6.2%にしかならないのです。明らかに、私の想定がおかしいか、または方程式が不適切なのです。  私の極端な例においてブラック・ショールズ方程式によって示された馬鹿げたプレミアムは、方程式の中にボラティリティが含まれている事、そしてボラティリティはその株式が過去数日間、数ヶ月間、あるいは数年間でどれだけ揺れ動いたかで決定されるという事実によって引き起こされたのです。この測定基準は100年先のアメリカ企業の確率重みつきでの価値の範囲を見積もることとは関連がないのです(もしよろしければ、躁鬱気味の隣人から毎日農場の価格を入手し、それからこの変化し続ける価格から計算されたボラティリティを今から1世紀先のその農場の確率重みつきでの価値の範囲を予測する方程式の重要な要素として使うことを想像してみて下さい)。  歴史に基づくボラティリティは短期間のオプション価格を見積もるのには有用な――しかし絶対安全とはほど遠い――概念ですが、その実用性はオプションの存続期間が延びるにつれ、急速に減っていきます。私の意見では、ブラック・ショールズ方程式による当社の長期プット・オプションの現在の評価は当社の負債を過大評価しています。ただし、その過大評価の程度は契約が満期に近づくにつれ減少していくでしょう。  たとえそうであっても、私達は長期の株式プット・オプションに係る財務諸表上の負債を見積もる際には、ブラック・ショールズ方程式を使い続けていきます。この方程式は世間一般の通念となっており、私がどのような代わりの式を用いても、極端な疑念が生じてしまうでしょう。それはまったく理解できることです。難解な金融商品について自分勝手な価値評価をでっち上げているCEO達は、まず保守的な側の間違いをすることがありません。楽天主義者のクラブはチャーリーや私が加わりたくないものです。 ****************************************************************** バフェット氏のたとえ話は、毎回、論理的で分かりやすいです。 ある理論の有効性を確かめるには、極端な例を使ってみて、 その結果が『常識で考えて』妥当かどうかをみてみれば良いと述べています。 本文中で説明している様に、バフェット氏はブラック・ショールズ式は長期のオプションを評価するのに妥当ではないと考えているようですが、それでもこの方程式を使い続けると言っています。 重要なことはどの式を使うかではなく、前回までで説明していたように、 実質的なリスクを低く抑え、コントロール出来るかどうか、ということなのだと思います。 これでデリバティブについての章は終わりです。 次回はいよいよ最後の章、株主総会についての案内です。

2008年版バフェットの手紙(10)-3

ウォーレン・バフェット氏が毎年、バークシャーのアニュアル・レポートの中で 株主にあてて書いている手紙の2008年版、その翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 今回も引き続き、デリバティブについての章です。 バークシャーで行なっているデリバティブ取引について、 その性質毎に4つに分類して、詳細に説明しています。 ******************************************************************  当社の契約は4つの大きなカテゴリーに分けられます。金融商品に興味を惹かれない方にはお詫びをしなければなりませんが、それらについて苦痛なほど詳細に説明をさせて頂きます。 ● 私達は昨年の報告書で取り上げた「エクイティ・プット」ポートフォリオをわずかに増やしました。当社の契約の中には15年で満期を迎えるものもありますが、その他については20年満期となっています。満期の際にプットの対象となっている指数が契約開始時点の数値を下回っていた場合、当社はカウンターパーティーに対して支払いをしなければなりません。どちらの取引者も期日より前に決済を選択することは出来ません。重要なのは最終日の価格のみです。 分かりやすい例として、私達が10億ドルで15年のプット・オプションを、S&P500指数がたとえば1300のときに売ったとしましょう。もし満期日にその指数が10%下がって1170だったら、私達は1億ドルを支払うことになります。もし1300より上なら、私達は何も支払う義務はありません。私達が10億ドルを失うためには、指数はゼロになる必要があります。同時に、プットの売りは私達に好きな様に投資に使うことの出来るプレミアムを――おそらく1億ドルから150億ドルほどでしょう――もたらしてくれます。 当社のプット契約は合計で371億ドル(現在の為替レートで)であり、4つの主要な指数に広がっています。それはアメリカのS&P500種、イギリスのFTSE100種、ヨーロッパのEuro Stoxx50種、そして日本の日経平均225種です。当社の契約は2019年9月9日に最初の満期を迎え、最後の満期日は2028年1月24日になります。当社は49億ドルのプレミアムを受け取っており、それを投資に使っています。その一方で満期日がはるか先である為、当社は一切の支払いをしていません。それにもかかわらず、当社はブラック・ショールズ方程式を用いて、年度末の負債として100億ドルを計上しています。この額は報告日ごとに毎回変化します。2つの財務項目――[この評価損失額である100億ドル]−[当社が受け取ったプレミアムの49億ドル]――は当社が報告したこの契約における51億ドルのマーク・トゥ・マーケット損失を意味しています。 私達はマーク・トゥ・マーケット会計を支持しています。しかし、後でブラック・ショールズ方程式がオプションに伴う負債額の見積もりをする際の標準となっているにも関わらず、長期間の様々な価値評価を行なうと奇妙な結果を生み出してしまうと私が信じている理由を説明したいと思います。 当社の契約について時々理解されていないことについて一点、触れておきます。私達が危険にさらされている371億ドルの全てを失うためには、4つの指数全ての株式が様々な満期日にゼロにならなければいけません。しかし、もしも――例えばですが――全ての指数が各契約の開始日時点から25%下落し、外国為替レートが現在と同じままであったとした場合、当社が支払い義務を負う事になるのは90億ドルで、2019年から2028年にかけて支払うことになります。契約開始日からそれらの日までの間、当社は49億ドルのプレミアムを保有し、それに対する投資収益を得ることが出来るのです。 ● 昨年の報告書の中で取り上げた2つ目のカテゴリーは、様々な高利回りの指数に含まれる企業の信用損失が生じた時、当社に支払いが要求されるデリバティブに関するものでした。当社の標準的な契約では100社を含み、5年間をカバーしています。当社は昨年、このカテゴリーのポジションをわずかに増やしました。しかし、もちろん、2007年末時点の帳簿上の契約は1年間満期に近づきました。全体では、当社の契約は現在2年4ヶ月の平均残存期間となっており、最初の満期日は2009年9月20日に訪れ、最後の満期日は2013年12月20日に訪れます。 年末までに、当社はこれらの契約に対して34億ドルのプレミアムを受け取り、5億4200万ドルの損失を支払いました。マーク・トゥ・マーケットの原則を用いて、当社は年末時点で30億ドルの将来の損失のための負債を記載しました。こうして当社はその時点で、支払い額及び将来損失の見積もり額の合計である35億ドルから当社が受け取った34億ドルのプレミアムを差し引いて求められる約1億ドルの損失を計上する必要がありました。しかし、当社の四半期報告書では、利益または損失の額は2008年第2四半期の3億2700万ドルの利益から同第4四半期の6億9300万ドルまで大きく振れてきました。 驚くべきことに、当社は昨年、これらの契約に対して私がこれらの契約を結ぶことを決断する時に使った見積もりよりもはるかに少ない、9700万ドルの支払いしかしませんでした。しかし今年は、大規模な倒産が急激に増えると共に、損失は鋭く加速度的に膨らむでしょう。昨年の手紙で、私はこの契約が利益を上げて満期を迎えると期待していると申し上げました。今では、景気後退が急速に深まっていくと共に、最終的な損失の可能性が増加して来ました。結果がどうであれ、皆さんにお知らせし続けるつもりです。 ● 2008年に当社は個々の企業に対する「クレジット・デフォルト・スワップ」の引受けを始めました。これは単純な信用保険で、私達がBHACで引き受けている保険と似ていますが、免税債券保険ではなく企業の信用リスクを引き受けているという点が違っています。 もし、XYZという会社が倒産し、そして当社が1億ドルの契約を引き受けていたとすると、当社はXYZ社の借金の価値の相対的な縮小度を反映した額を支払う義務を負うことになります(例えば、仮にその会社の債券が債務不履行に陥った後で30ポイントの値がついていたとすると、当社は7000万ドルの支払い義務を負うことになります)。典型的な契約では、当社は5年間四半期ごとに保険料の支払いを受け取り、その後当社の保険は切れることになります。 年末時点で当社は42の企業をカバーする40億ドルの契約を引き受け、それに対して当社は年間の保険料として9300万ドルを受け取りました。これは当社が契約した中で唯一、カウンターパーティー・リスクのあるデリバティブのビジネスです。当社からこの契約を買ったパーティーは、5年間にわたって当社に支払う義務のある四半期ごとの保険金をきちんと支払わなければいけません。当社はこのビジネスをこれ以上拡大しようとは思っていません。何故ならこの保護の買い手のほとんどは今や売り手に担保を差し入れるよう要求しており、そして当社はそのような取り決めには関わりたくないからです。 ● 顧客の要望に応えて、当社はBHACで引き受けているのと似た2、3の免税債券保険契約を引き受けましたが、それはデリバティブとして組成されました。この2つの契約の間の唯一の意味ある違いとは、デリバティブにはマーク・トゥ・マーケット会計が要求される一方で、BHACでは標準的な発生主義会計が要求されるという点です。 しかしこの相違はいくらか奇妙な結果を生み出します。デリバティブで保護された――事実上、保険がかけられた――債券は、大部分が国全体の債務であり、それについて私達は安心してみています。しかし、年末時点で、マーク・トゥ・マーケット会計によって当社はこれらのデリバティブ契約について6億3100万ドルの損失を計上する必要がありました。もし私達がBHACにおいて同じ債券を同じ価格で保証しており、保険会社に要求される発生主義会計を用いていたとすると、私達は昨年小さいながらも利益を計上出来ていたのです。私達が保証している債券に採用している2つの方法は最終的には同じ会計上の結果を生むでしょう。しかしながら、短期的には、両者間の報告利益の差異は相当な額になり得るのです。  私達は以前に当社のデリバティブ取引は、マーク・トゥ・マーケット会計を課せられているため、当社が報告する利益に大幅な変動をもたらすだろうと申し上げました。この上げ下げはチャーリーと私を励ましも悩ませもしません。実際、「下落」は私達に好ましい手段のポジションを増やす機会を提供してくれるという点で助けになるのです。私は当社の取引についてのこの説明によって皆さんも同じように考えるようになって頂きたいと願っています。 ****************************************************************** これらの説明を読んでいると、もっと複雑で難解極まりないなはずのデリバティブ取引が 簡単なものに思えてくるのが恐ろしいです(笑) バフェット氏は株主への説明をどうしてこれほど分かりやすく書けるのか、という質問に対して、 「自分の家族に事業内容を説明するつもりで書くのです。」と答えたそうです。 株主をパートナーとみなして、その道の専門家ではない人達にも分かるように説明するというのは、 バフェット氏の誠実さや株主への責任感が現れていると共に、自分が行なっていることを腹から理解しているからこそだと思います。 バフェット氏のこうした所は、株式投資に限らず仕事やその他の実生活上の行動をとる時にも参考にしたいと感じました。 また、デリバティブ取引の財務諸表上の負債や損益を評価する際も、 金融分野では常識とされているブラック・ショールズ式を用いながらも、 実質的(最終的)な損失については異なった見方をしていることが分かります。 デリバティブによる負債や損失は現時点でのフェア・バリューをもとにしていますが、 現時点で現金流出を伴うものではなく、 仮にバークシャーの期待が外れても損失は限定的であり、 先に受け取ったプレミアムによる運用収益も考えれば、最終的な損失の可能性は低いと見ているようです。 会計ルールや世間一般でもてはやされている公式による表面的な数字がどうであれ鵜呑みにせず、会計報告上従いはしても、 投資・経営判断において本質的なリスクや損質、利益に関しては自分の頭で考えて判断するというバフェット氏の行動原則がよく現れていると思いました。 デリバティブについての章はあと1回です。 バフェット氏の手紙の全文翻訳記事も、大分終わりに近づいて来ました。 もう少しだけお付き合い下さい。 (続く)

2008年版バフェットの手紙(10)-2

ウォーレン・バフェット氏が毎年、バークシャーのアニュアル・レポートの中で 株主にあてて書いている手紙の2008年版、その翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 前回に続いて、デリバティブについての説明の章です。 今回の部分では、バフェットしはデリバティブ取引の持つカウンターパーティー(取引を行なう相手)・リスクについて説明をしています。 ******************************************************************  通常の株式や債券の取引では数日以内に一方は現金を受け取り、もう一方は証券を受け取って決済が完了します。それゆえカウンターパーティー・リスクはすぐに消滅し、それは信用問題が累積しないことを意味します。この迅速な決済プロセスが市場を完全な状態で維持するための鍵なのです。実際、それこそがNYSEとNASDAQが1995年に決済期間を5日間から3日間に短縮した一つの理由なのです。  対照的にデリバティブ取引は、しばしば何年も、あるいは何十年も決済が行なわれず、その間にカウンターパーティーはお互いに巨額の請求権を積み上げていくということが起こります。「紙切れの」資産と負債――しばしば定量化するのが困難です――は財務諸表の重要な部分を占めるようになりますが、これらの項目は何年も経たないと有効にならないのです。それに加えて、ぞっとするような相互依存の網が巨大金融機関の間で拡大しています。莫大な数の債権と債務が、他の手段でも高いレバレッジをかけがちな数社の巨大なディーラーの手に集中しました。トラブルを避けようとする参加者達は、性病を避けようとする者と同じ問題に直面しました。すなわち、あなたが一緒に寝ている人は、あなたとだけでなく他の人達とも一緒に寝ている人なのです。  たとえ話を続けるならば、色々な人と寝ることは巨大なデリバティブの取引者にとっては実際に役に立ちます。何故ならば、それによってもしトラブルが起こった場合、政府の援助が保証されるからです。言い換えれば、近隣全体を汚染する問題を抱えた企業だけが――その名前は出しませんが――確実に国の関わる問題になるからです(その結果は、私も申し上げるのは悲しいのですが、妥当なことなのです)。このいらいらさせるような現実から、借入金を積み上げ、巨大かつ理解不能なデリバティブ取引を指揮する野心的なCEO達のための「企業生存の第1法則」が導かれます。すなわち、そこそこの無能さではまったく無理で、とんでもない失敗が必要なのだ、ということです。  私が表現した破滅の原因を考慮すると、みなさんは何故バークシャーが251のデリバティブ契約(ミッドアメリカン社で業務上の目的で使用されているものと、ゼネラル・リーに残っているわずかな契約を除く)を結んでいるのか不思議に思われるかも知れません。その答えは簡単です。私は当社が所有している契約はどれも初めから価格が、時には劇的に、誤ってつけられていると信じています。私自身が、巨大金融組織のCEOはみな、最高リスク責任者でもなければならないという私の信条と首尾一貫した責任の下に、これらのポジションを開始し、そして監視しています。もし私達がデリバティブでお金を失うことになれば、それは私の責任です。  当社のデリバティブ取引は、契約が開始した時にカウンターパーティーが当社に支払いをする必要があるものです。それゆえバークシャーは常にそのお金を手にしていることになり、実質的に、カウンターパーティ・リスクは存在しないと考えることが出来ます。年末時点で、当社に対して支払われた額から当社が支払った損失額を引いた金額――デリバティブの「フロート」ということが出来ます――は合計で81億ドルでした。このフロートは保険のフロートとよく似ています。もし当社が元の取引で損益なしの状態であれば、長期間にわたって自由にそのお金を使うことが出来るでしょう。私達の予想では、確実とは程遠いですが、損益なし以上の結果が得られ、そしてその資金に対して得られる相当額の投資収益は二重に美味しいものとなるでしょう。  市場が当社の予想に反して動いたとき、当社はごくわずかなパーセンテージの契約しか、担保を差し入れる必要がありません。昨年の第4四半期に生じていたような混沌とした状況下でさえ、当社の有価証券ポートフォリオの1%以下しか担保に差し入れる必要がありませんでした(私達が担保を差し入れる時、私達はそれを第3者の元に預け、一方で預けた有価証券に対する投資利益は手元に留めておくことが出来ます)。2002年の当社の年次報告書で、私達は担保差し入れ要求がつくり出す致命的な脅威について警告しましたが、それは昨年、様々な金融機関において私達が現実の例として目の当たりにすることになりました(そして、その問題に関してですが、コンステレーション・エナジー社は倒産まであと数時間という所でミッドアメリカン社が救済措置を実行しました)。 ****************************************************************** デリバティブ契約には満期まで何年も、何十年もかかるものがあり、 その間にカウンターパーティーが倒産するなどして 契約不履行になってしまうというリスクがあります。 バークシャーでもデリバティブ契約を行なっていますが、 バフェット氏がバークシャーで手がけているものはほとんどが、 取引開始時点で相手からプレミアムを受け取るものなので、 その様なカウンターパーティー・リスクは実質存在しない、と説明しています。 なるほど、と思ったのは、バフェット氏がデリバティブを行なっている理由は、 契約開始時点で受けとるプレミアムを保険会社が保険料収入によって生み出すのと同じような「フロート(滞留資金)」としてみている、ということです。 たとえデリバティブ契約が損得なしで清算することになっても、 満期までの間自由に使えるその資金で投資収益を上げることが可能になる、というわけです。 デリバティブは危険なものだと認識していながらも、確率的に勝算があるリスクを積極的に引き受け、集めた資金を投資で増やすというのは、 まさにバフェット氏が保険会社で行なってきたことと本質的には変わらないのですが、それにしても目のつけ所が違うな、と感心しました。 この手紙の翻訳も大分終わりに近づいてきましたが、デリバティブについての話はまだ続きます。 もうしばらく、お付き合い下さい。 (続く)

2008年版バフェットの手紙(10)-1

前の記事から、少し間隔が空いてしまいました。 訳文自体は既に出来ているので、記事の更新が遅れた理由は単純に僕の怠慢です・・・。(^^;ヾ さて、ウォーレン・バフェット氏がバークシャーの株主にあてて書いた手紙の翻訳記事の続きです。 ※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。 2008年版アニュアルレポート →http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf 2008年版会長の手紙 →http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf 今回の段落は、デリバティブについての説明です。 バフェット氏はこの章に、今年の手紙の中で一番長い段落を割いています。 長すぎて2回でも収まりきらないので、4回に分けて記事にしようと思います。 この分野について僕自身の知識が不足しているせいもあり、不適当な訳があるかも知れません。 その時は遠慮なく指摘して下さい。 ****************************************************************** デリバティブ(金融派生商品)  デリバティブは危険なものです。それは私達の金融システムに劇的なレバレッジとリスクの増加をもたらして来ました。デリバティブによって、投資家がわが国の最大手の商業銀行と投資銀行を理解することはほとんど不可能になりました。ファニー・メイとフレディ・マックが何年にもわたって大規模な虚偽の利益報告をすることを可能にしたのも、デリバティブです。あまりにもフレディとファニーの報告が解読できないものだったために、両社の連邦取締機関であるOFHEO、その100人を超える従業員達はこの2つの会社を監視する(※訳注:原文では”oversight”に「監視」と「見落とし」の2つの意味をかけてあると思われます。)以外に仕事がなく、これら2社が帳簿を改ざんするのをすっかり見落としたのです。  まったく、最近の出来事は大きな金融機関のある有名なCEO(または前CEO)達が全然デリバティブの巨大で複雑な帳簿を管理できなかったことを証明しています。チャーリーと私もこの不運なグループに含めて考えてください。バークシャーがゼネラル・リーを1998年に買収した時、私達はその帳簿に記載された884の相対取引者(その多くを私達は聞いたこともありませんでした)との23,218のデリバティブ契約を理解することが出来ないと知っていました。そこで私達はそのビジネスを終了させる事に決めました。私達には何の圧力もかかっておらず、その時は市場も穏やかな状態でしたが、この仕事を大部分完了させるまでには5年もの時間と4億ドルの損失を費やしました。それが済んだ時、私達のこのビジネスについての感情はあるカントリー・ソングの一節で言い表すことが出来ました。「私はあなたを、これほどよく知るようになる前の方が好きだった。」  「透明性」の改善――政治家や評論家、金融監督官が将来の列車の残骸から目をそらすために好んで使う解決策ですが――はデリバティブが持ち出す問題を解決してはくれません。私は巨大で複雑なデリバティブ・ポートフォリオのリスクを、ほんのわずかでも正確に表現し測定することが可能な報告のしくみは全く知りません。監査役はこれらの契約を監査できませんし、規制機関もこれらを規制することが出来ないのです。これらの金融商品によって身動きが取れなくなった複数の企業の10-K(訳注:SECへの提出が義務づけられている、米国における有価証券報告書)の中の「ディスクロージャー(開示)」のページを読んだとき、結局私がわかったのは、そのポートフォリオの中で何が起こっているのか、私にはわからないということでした(そしてそれから、アスピリンに手を伸ばしました)。  規制の有効性についての事例研究として、フレディとファニーの例をより詳しく見てみましょう。これらの巨大機関は連邦議会によって創立され、両社に対する支配権は保持しつつ、両社が出来ることと出来ないことを指示しました。その監視を援助するために、連邦議会はOFHEOを1992年に創立し、2頭の巨獣に行儀よくふるまわせるよう、勧告しました。そうした動きによって、ファニーとフレディは私の知る限り、その職務に配置された人力で測った場合、最も厳しく規制される企業になりました。  2003年6月15日、OFHEO(同社の年次報告書はインターネット上で閲覧可能です)は2002年の報告書を連邦議会――特に上院と下院にいる4人の監督者、その中には他ならぬサーベンス氏及びオクスリー氏もいました(※訳注:ご存知の方が多いと思いますが、両者の名前が冠された『上場企業会計改革及び投資家保護法』、通称『SOX法』の法案提出者です)――に提出しました。127ページのその報告書の中には、自画自賛の様な以下の文面も含まれていました。「卓越した10年間を祝して」その電子送信された書簡と報告書は、フレディのCEOとCFOが不信任で辞任し、同社のCOOが解雇された9日後に届けられました。書簡の中で彼らの辞任については全く触れられておらず、それどころか報告書は、いつものようにこう締めくくられていました。「両企業とも財務的に健全であり、良好に運営されている。」  実のところ、この2つの企業は大規模な会計上のごまかしに以前から手を染めていました。最終的に、2006年、OFHEOは340ページに及ぶ酷評的なファニーの罪の歴史を発行し、その中でこの大失敗の責任を、想像はつくでしょうが、連邦議会とOFHEO以外のあらゆる関係者のせいにしたのです。  ベアー・スターンズの崩壊はデリバティブ取引の中に埋め込まれているカウンターパーティーの問題――私がバークシャーの2002年の報告書で最初に取り上げた時限爆弾のことです――にハイライトを当てました。2008年4月3日、有能なニューヨーク連邦準備銀行総裁であったティム・ガイトナーは救済の必要性を次のように説明しました。「ベアー社のデリバティブ・カウンターパーティーによって突然発見された、金融リスクから自己を保護する為にとった重要な金融ポジションはもはや効力を持たないという事実は、更に重大な市場の混乱を引き起こしかねない。このことはベアー社のカウンターパーティーが急いでそのポジションに対して抑えていた担保を換金し、既にもろくなっている市場で再び同様のポジションをとろうとするのを促進することになるだろう。」これは「我々は予測不可能な規模の金融上の連鎖反応を避けるために介入した。」というFRBの声明です。私の意見では、FRBはそうして正解だったでしょう。 ****************************************************************** ここまででは、主にフレディ・マックとファニー・メイのデリバティブに絡んだ不祥事、 そしてその2社を監視する立場にあったOFEHOという機関の怠慢・欺瞞について説明するとともに、強烈に皮肉っています。 次回は、デリバティブのカウンターパーティー(取引相手)・リスクとバークシャーのデリバティブ取引についての説明に入っていきます。 (続く)

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