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2015.08.31 Monday
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2011年7月のまとめ − 読書メーター
7月もあっという間に終わり、8月に入りましたね。
先月はかなり読書ペースが上がり、読了数としては恐らく自己最高を更新しました。
7月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5574ページ
ナイス数:244ナイス
実は月末時点で今年に入ってからの累計読了数が99冊となり、あと1冊読んで100冊とキリ良く締めたかったのですが・・・まあそれで肝心の読書体験が中途半端になるのは本末転倒ですしね。
老人と海 (新潮文庫)
ヘミングウェイの著作は初めて読んだ。あまりこの手の純文学?というのは読まないのだけれど、なんとも独特な文体にひきこまれる。老人の独白(というか独り言?)と大魚との戦いの描写。人間と魚というよりも2つの生命のぶつかり合い。けれどその戦いに勝った老人も獲物を鮫達に毟られ、ようよう帰り着く頃には骨しか残されないというのが何ともシュール。少年が疲れ果て眠り込んだ老人の有り様を見て泣く場面で、なぜだか自分までグッと来てしまった。
読了日:07月01日 著者:
ヘミングウェイ
幸福論 (岩波文庫)
幸福について様々な切り口から考察した93のプロポ(哲学断章)。それぞれは短くまとまっていて読みやすいけれど、内容はやや難解なものも。アランはものに即して考える。悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。人はみな、己が欲するものを得る。身体に運動を与えることで気分も変わる。色々、いいことを書いていると思う。一度読んだだけではもったいない本かな。
読了日:07月03日 著者:
アラン
仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
砂漠の遊牧民になぞらえて、決まったオフィスを持たず、クラウドなどのハイテクで武装したホワイトカラーをノマドワーカーと呼ぶ。最近よく耳にする言葉だけれど、佐々木俊尚氏が自身の経験も交えながらその仕事と生活のスタイルや活用しているクラウドを紹介している。2年前の本であり、日進月歩のハイテク業界なので紹介している内容は陳腐化しているかと思ったが、意外に重要なサービスは現在でも有効に使えるのだなというのが正直な感想。ノマドはごく一部の職種にしか当てはまらない気がするが、自分の仕事に応用できる部分はしていきたい。
読了日:07月04日 著者:
佐々木 俊尚
夢をかなえるゾウ 文庫版
何年か前に知り合いに薦められたけど読んでいなかった本。文庫化を機にようやく読んだ。関西弁の神様ガネーシャと主人公との会話中心の物語形式でサクサク読める。内容は文中にもあるように、他の自己啓発本にも書かれているようなものばかり。でもガネーシャに出会う前の主人公や大抵の読者(自分含む)がそうであるように、それを行動に移せるか移せないかが成功を分ける分岐点なんだろう。意識するよりもまずは行動を。この本の(自分にとっての)教訓はそこに尽きると思う。
読了日:07月06日 著者:
水野敬也
スローネット―IT社会の新たなかたち
「スローネット」という矛盾するようなタイトルに興味を惹かれて手にとった。ますます高速化がすすむインターネットを中心とするファストITに対し、ものごとの処理を現行より遅らせる能力をもつ情報技術をスローITと著者は呼ぶ。フランスの思想家ヴィリリオやマイクロソフトからGoogleやAppleといったアメリカのIT企業を産み出してきた「フロンティア精神」に触れながら、数理主義に基づくIT社会の行き着く先で、人間の存在が「機械的要素」とみなされてしまう恐れに警鐘を鳴らす。
読了日:07月07日 著者:
西垣 通
成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
マクドナルド創業者レイ・クロックの自伝。52歳という年齢で新たなビジネスを始めて世界的なハンバーガーチェーンを作り上げたことは驚きだが、それに至るまでにピアノ演奏者・紙コップの営業・マルチミキサーの販売と、長いビジネスマンとしての下地があったのにはなるほど納得。取引相手、ビジネスパートナー、そして家族との様々な問題に悩まされながらもそれを乗り越えて1店舗1店舗地道にマクドナルドのチェーンを拡げていく様子はアメリカのベンチャー精神のお手本。付録の柳井正と孫正義の日本を代表するベンチャー経営者の対談も面白い。
読了日:07月10日 著者:
レイ・A. クロック,ロバート アンダーソン,野地 秩嘉,孫 正義,柳井 正
「年収6割でも週休4日」という生き方
何だか色々とツッコミたくなる本だった。タイトルに期待して読んだけれど、著者の会社が実際に年収6割・週休4日を実践しているわけではなく、あくまでその可能性に備えて週休3日を始めた段階。また日本の古きよき企業経営を崇拝しそれに学ぶといっているけれど、当時と今とではまるで状況が違うのでは…。後半は米国を中心とした「カジノ経済」批判とそれに対する提言だけど、書いていることは必ずしも間違いじゃないにせよ、日本の経済の沈降を全てその所為にするのは無理があるのでは…など。
読了日:07月10日 著者:
ビル トッテン
ふがいない僕は空を見た
読み始めると、物語に引きこまれて寝るのも忘れそうになってしまった。レビューを見ていたので予備知識はあったけれど、確かに最初の2話の性描写は生々しい。でも、それ以上に決して根っからの悪人ではない登場人物たちがそれぞれの悩みを抱え、やるせない状況に苦しみ、思わずその不幸を他人にも伝染させてしまう、そんな誰もが多かれ少なかれ経験のあるだろう、人間くさい心理こそが本当に生々しく描写されていたと思う。最後に少し救いがあったので読後感も悪くなかった。個人的には3話目の松永さんの話が気に入った。読み終えた僕は空を見た。
読了日:07月12日 著者:
窪 美澄
シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう
「シンプルを極める」に続いて2冊目。文量としてはこちらくらいの方がよりシンプルでいいな。ファッションや美容についての記述は女性向けに書かれただけにあまり参考にならないし、エネルギーがどうの波動がこうのというのも正直うんざり。なんだけどベーシックで上質なものにこだわる、空腹を感じたときのみに食べる、などは頷ける。
読了日:07月14日 著者:
ドミニック ローホー
金融入門 (岩波新書)
まさにタイトルそのまま「金融入門」。銀行の決済システムや預金創造の仕組み、各種金融機関の特徴、金融市場の資金の循環構造など、わかりやすく説明されている。マクロ経済と金融政策の部分は自分の理解力の問題なのだろう、あまり理解できたとはいえない・・・かも(笑)
読了日:07月16日 著者:
岩田 規久男
知的創造のヒント (ちくま学芸文庫)
知的創造とは、アルコールにたとえればカクテルではなく醸造酒。他人の考えの単なる混合せではなく、素となる着想を寝かせ、発酵させて生み出すもの。そのような二次的ではない、一時的創造のヒントとなるエッセイ集。忘却や比喩、雑談に出家的状況、書くスタイルなどアイデアが生まれやすくし、それを形にするための土壌作りに著者や過去の科学者、文筆家達が様々な工夫を凝らしてきたことがわかる。「思考の整理学」と合わせて読み返したくなる本。
読了日:07月18日 著者:
外山 滋比古
成功をめざす人に知っておいてほしいこと
成功をめざすには簡単な道はない。正しい努力と継続的な実践が必要。当たり前のことなんだけれど、お手軽に、短期間で成功を収められると謳うような凡百の自己啓発本に比べればずっとまともなことを書いていると思う。その当たり前だけど楽ではない努力を実践し続けるのが大抵の人には難しいんだけれど。「正しい努力」については、ジョフ・コルヴァン著「究極の鍛錬」に書かれてあることが大いに参考になると思う(これはマジでお薦め)。両方の本にアメフトの名選手ジェリー・ライスが紹介されてるのは決して偶然ではない。
読了日:07月19日 著者:
リック・ピティーノ
究極の鍛錬
再々読。ひとつ前に読んだ「成功をめざす人に知っておいてほしいこと」のコメントにも書いたけれど、この本と共通項はある。成功をおさめる為には継続的な努力が必要という点で。うまれつきの才能で成功するかしないかを片付けてしまわない本書には希望が持てる。多くの研究や偉業をあげた人たちの事例をもとに卓越した能力をもたらす「究極の鍛錬」の要素を明らかにしている本書は、もっと注目されてもいいと思う。よき指導者や考えぬかれた練習法、長期間に渡る訓練など、容易に実践できるものではないけれども。
読了日:07月19日 著者:
ジョフ・コルヴァン
クジラの彼 (角川文庫)
知らずにBOOKOFFで手にとったけれど、一部他の本の番外編だったんですね。それでも楽しめたけれど。自衛隊の恋愛モノの短編集ということだけど、その一般人からすればかなり特殊な職業柄をうまく活かしつつ男女の機微を見事に描いているなあと思う。女性目線の「クジラの彼」「ロールアウト」は女性だとそういう風に感じたりするのかと妙に感心。「脱柵エレジー」は清田の元カノにムカムカさせられつつ、自衛隊員と一般人の隔たりを思い知らされ。その他の男性目線の話は、恋愛に悩めるだけ恵まれてますねとヒネくれて読んだり。
読了日:07月21日 著者:
有川 浩
シンプルを極める
ちょうど一ヶ月ぶりの再読。改めて読み返すと女性、それもそれなりに地位や財を築いた年配の女性向けだな、という気はする。それでも思ったら即行動に移す、欲しいモノがあっても30日間リストに入れて30日間待ってみるなど気づきは多かった。しかし持ち物の処分・整理を実行に移せていないな自分は。いい加減、はじめないと!
読了日:07月23日 著者:
ドミニック・ローホー
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
この本は出版された当時から気になっていたけど、「マイクロソフトでは出会えなかった天職」と同様、社会起業家というものにどこか偏見があって手がなかなか出なかった。でも前記と同様、読んでよかった。社会事業であってもビジネスであり、ビジネスモデルをしっかり構築して利益を出していく。マッキンゼー仕込みの左脳的思考と右脳的思考とがかみ合わさった経営思想は参考になった。社会事業というと日本ではボランティアの様に無償で働くイメージが強いが、社会に価値を生み出す労働の対価として適切な報酬を頂くべきという著者の意見には同意。
読了日:07月23日 著者:
小暮 真久
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
後半の数十ページは一気に読まされた。上巻から下巻にかけての長い長い論文や遺書は興味深かったが、それらが後半にかけて繋がってきてなるほどそういうことかと納得したかと思うと、再び夢と現実の境がわからなくなるような感じで二転三転?最後は薄々想像していたような終わり方だったが、そこまでの持って行き方がなんとも強烈・・・。上巻よりも混乱させられ、そのまま終わってしまった。読み終えると確かにこれは「日本三大奇書」と言えるのかも。呼び方がどうであれ、ここまでの文章を人間が書き上げたというのに只々感心。ブウウウーンンー…
読了日:07月26日 著者:
夢野 久作
外資金融では出会えなかった日本でいちばん投資したい会社
過去に例を見ないユニークな独立系投資信託会社・鎌倉投信の紹介本。創業者の鎌田恭幸さんと鎌倉投信の理念がぎっしり詰まっている。鎌倉投信は創業直後から気になっている会社だけれど、この本を読むとますます応援したくなった。どうかこの理念を貫き続けて、運用成績でも社会的存在としてもピカイチの「いい投資信託会社」に育ってもらいたい。最後の「鎌倉投信は、いつの日かこの会社(伊那食品工業)に『おたくになら投資してもらってもいいよ』と言っていただけるような投信会社になりたいと思っています。」個人投資家だけどこの思いに共感。
読了日:07月27日 著者:
鎌田恭幸
千円札は拾うな。 (サンマーク文庫 B- 112)
【ど う し て こ う な っ た】数年前のベストセラーであり、今年倒産したワイキューブの安田社長の著書。おっと思うような言葉は随所にあるのに、出版後数年で著者の会社が潰れてしまった為に皮肉にしか思えず素直に受け取れない箇所が多かったのは残念。「成長できる人は、間違った階段を上らなかった人ではない。間違えたと気づいた瞬間に、躊躇せずに今いる階段から飛び下りることができた人なのだ。」「『捨てられるものの量』がその人の『変化値』を決めている」等が印象的。「リスクのない人生などこの世には存在しない。」まさに。
読了日:07月28日 著者:
安田 佳生
TPP亡国論 (集英社新書)
最近TPPについて騒がれているがどういうものかよく分かっていなかったので読んでみた。TPPに参加しても政府のいうようなアジア太平洋の成長を取り込む様な展開は期待できず、アメリカの策略にはまるだけ。国際競争力には関税よりも通貨安の問題が大きい。貿易黒字信仰を捨て去れ。著者はデフレが諸悪の根源だと繰り返し主張しているが、デフレ脱却が最優先であり、財政出動で公共投資を増やし内需を刺激するのが解決策だと。うーん、そんな単純な問題?と疑問には思ったが、勉強にはなりました。
読了日:07月30日 著者:
中野 剛志
ほんとうに使える論理思考の技術
論理思考の技術というよりも、論理思考を利用したビジネス上のコミュニケーション技術といった感が強い。図解が多く、文章も読みやすいのですぐ読み終えられる。けれど実際に使ってみないことには役立たないのは言うまでもない・・・。自分は論理、心理どちらもダメだなーとこの本を読んで痛感。
読了日:07月30日 著者:
木田 知廣
社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)
アメリカでの軍事・教育・メディア・政治をテーマに、若者達が情報操作、教育システムへの競争導入や民間化などによって追い立てられ、搾取されていく重たい現実をわかりやすく伝えている。自分の頭で考え、情報源を偏らせず、何が正しいのかを見極める力を養っていくことは、本当に大切なのだと改めて思う。また終章では高齢者が大規模な組織で時間をかけ政治家を動かし自分達の権利を勝ちとってきた経緯にふれ、若者たちだってやり方の工夫と諦めずに継続的な活動次第で、社会は変えていけるのだと希望を伝えている。
読了日:07月31日 著者:
堤 未果
読書メーター
7月はこれといって方向性もなくかなり無軌道に読み漁った感が上のリストからもおわかりいただける気がします(笑)
僕は採点基準が甘めなのか、そうそうつまらないと思う本には当たらないのですが、「スローネット」と「『年収6割でも週休4日』という生き方」は正直、ちょっとがっくり来ました。
「スローネット」は最後まで読んでも「で、結局スローネットってどんなものなの?」というイメージが掴めなかったこと、「『年収6割でも〜」は実際に著者の会社が年収6割・週休4日を実践しているわけではないことに肩透かしを食らったことと、後半は米国を中心とするカジノ経済の批判に終始していて、ちょっと主題からずれているんじゃないかと感じたのが評価減の理由です。
小説ではヘミングウェイの代表作の一つ「老人の海」に手を出してみたりもしたのですが、今月読んだ中でインパクトが大きかったのは「ふがいない僕は空を見た」と「ドグラ・マグラ」ですかね。前者は現代の性や青春・貧困といったものを生々しくも鮮やかに描き出していました。「ドグラ・マグラ」は上巻から少し間が空きましたが、後半に入ってまたガラっと自分の中での印象が変わりました。確かに奇書と呼ぶに相応しい、と。
「究極の鍛錬」と「シンプルを極める」は再読ですが、どちらも個人的にジワジワ来るものがあり、時間をおいてまた読み返すと思います。
7月は読書ペースをぐっと上げましたが、8月は少しシフトダウンして、今度こそ古典や重厚な本をメインにゆっくり読んでみようかと思っています。
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2011.08.01 Monday
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