さっきの続きです。
ルック・スルー利益とは何か、という事は説明しました。
バークシャーのような問題は我々個人投資家には関係ないのではないかと考える人もいるでしょう。
確かに投資企業への投資比率によって連結会計に反映される利益が
ゆがめられてしまう、といった問題は個人投資家にはありません。
しかし、バフェットはこう言っています(以下は『バフェットからの手紙』より引用)。
「・・・株主にとっての留保利益の価値はそれがいかに有効に利用されるかによって決まるのであって、株主の持ち株比率によって決まるのではないと思います。もしみなさんが過去10年間バークシャーの株を0.01%お持ちならば、みなさんの会計上の認識がどうあろうと、みなさんの持ち分相当分について、当社の留保利益から経済的な利益をフルに得てきていることになるのです。」
「・・・投資家は自らのルック・スルー利益に着目することがためになると私たちは考えています。それを計算するには投資先の利益のうち、ポートフォリオにある株式の持ち分相当がどのくらいか、そしてその合計はいくらかを確定するべきです。投資家ならば今から10年以内に、ルック・スルー利益が最大になるようなポートフォリオ(実質的には会社)を作ることを目標とすべきです。」
(引用終わり)
たとえ投資先企業の0.001%しか買えない個人投資家であろうと、
バークシャーと同様、投資先の企業の留保利益が有効に再投資されて
それ以上の価値を生み出すことにより、利益を得ているのです。
つまり、個人投資家は、自分のポートフォリオを、
発行済株式の20%未満を保有する企業群で構成された
持ち株会社だという認識を持つべきではないかと思うのです。
僕も、自身のポートフォリオのルック・スルー利益を計算してみました。
短期的にはあまり意味のないことですが、ポートフォリオの株式益回り(直利)を計算して国債等と利回りを比較したり、新たに購入する株式についてはポートフォリオの平均益回りを下回らない事を意識したりと、ポートフォリオ全体の管理の仕方が変わって来たと思います。 もちろん、個別の企業の状態を分析する事が重要なのは言うまでもありませんが・・・。