ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイの株主にあてて書いた今年の手紙の翻訳記事、今回は第3段落です。
※原文は下記のリンクから読むことが出来ます。
2008年版アニュアルレポート
→http://www.berkshirehathaway.com/2008ar/2008ar.pdf
2008年版会長の手紙
→http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf
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指標
バークシャーは大きく分けて2つの価値を持っています。その1つ目は当社の投資資産、すなわち株式、債券、現金同等物です。年末時点でこれらの合計は1,220億ドルになります(当社の金融および公益事業部門で保有する投資資産は勘定に入れていません。これらは2つ目の価値に配分しています)。その合計額のうち約585億ドルは当社の保険事業のフロートによって資金供給されています。
バークシャーの2つ目の価値の構成要素は投資および保険事業以外の収益源から上がる利益です。これらの利益は96ページ(訳注:同社のアニュアルレポート内のページ)に記載されている当社の67の非保険事業会社群からもたらされています。保険事業の利益はこの計算からは除いています。なぜなら保険事業の価値はそれが生み出す投資可能な資金から来るものであり、この要素は既に1つ目の価値に含まれているからです。
2008年中に、バークシャー1株当たりの投資額は(少数株主持分控除後で)90,343ドルから77,793ドルまで低下しました。この下落は市場価格の低下に起因するものであり、株式または債券の正味売越しに因るものではありません。当社の2つ目の価値はバークシャー1株当たり、税引き前で4,093ドルから3,921ドルまで(同様に少数株主持分控除後)下落しました。
これらのパフォーマンスはいずれも満足のいくものではありませんでした。長期間でみて、私達がバークシャーの内在価値を許容できるペースで増加させていこうとするならば、上述の両方の区分のそれぞれについて、まずまずの増加が必要になります。しかし、この先、私達は過去2、30年間そうであったように、利益の区分に焦点を合わせていくでしょう。私達は過小評価された有価証券を買うのが好きですが、事業会社をまるごと適正価格で買う方が更に好きなのです。
さて、それではバークシャーの4つの主要な事業部門について見てみることにしましょう。これらはお互いに非常に異なったバランスシートと損益勘定の性質を持っています。それゆえ、これらを標準的な財務諸表がそうするようにひとまとめにしてしまうことは、分析を困難にしてしまいます。ですから、チャーリーと私が眺めているように、これらを4つのばらばらの事業としてお見せすることにします。
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バフェット氏は手紙の中で、数年前からバークシャーの価値を計るための2つの指標として、
株式・債券などの投資資産の額と、保険以外の事業から得られる税引き前利益の額(いずれも1株当たりの数値)を示してきました。
また、それらの数値の4〜5年間隔での成長の軌跡も提示していました(今年はその表はありませんでしたが)。
今や多数の事業や投資からなるバークシャーの全貌を理解するのは難しいことですが、
それを最もシンプルな形に切り分けて株主に提示しているのは
バフェット氏らしいシンプルかつ的を射た物事の捉え方だと思うと同時に、
株主に対して誠実な説明を心がけようという思いが感じられました。
次回からは、バークシャーの4つの大きな事業部門について個別の概況説明が行なわれていきます。
(続く)