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  • 2015.08.31 Monday
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2012年6月の読書まとめ

7月ももう終わろうとしているのにようやく6月分のまとめ記事です・・・。

6月の読書メーター
読んだ本の数:33冊
読んだページ数:9602ページ
ナイス数:771ナイス

6月は読了冊数が過去最高を突破。読書メーターで1日1冊(または1月30冊以上)読む会というコミュニティみたいなのに参加しているせいで、モチベーションがアップしているおかげです。

ただ読むのを優先するあまり感想がおざなりになっているという弊害が・・・。7月に入ってからさらにその傾向が顕著になっているので、来月のまとめ記事がさらにヤバい・・・(;・∀・)

6月はオフ会で貸し借りをした本をけっこう読んだ感じです。

内容的にも面白いものはいくつもありましたが、特に印象に残ったのは「イニシエーション・ラブ」「貧乏入門」「秒速5センチメートル one more side」です。

「イニシエーション〜」は1冊まるごと使ったトリックがすごい。事前にトリックがあるというのは知っていて気をつけていたので、途中である程度予想はつきましたが、読み終わって解説やネタバレサイトを見たら、気づけなかった伏線の多いこと多いこと・・・。

「貧乏入門」は僧侶の小池龍之介さんによる仏道の考えを取り入れたお金にとらわれない生き方のススメですが、すぐに真似するのは難しくても色々と自分の生活を見なおさせられた一冊です。

「秒速5センチメートル one more side」は新海誠監督のアニメと同ノベライズを別の作家・違う視点で描き直した作品。アニメやオリジナル小説では描かれなかった明里の心情や美しい情景描写に引きこまれました。装丁も美しく、お気に入りの一冊になりそう。

1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉前編 (新潮文庫)1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉前編 (新潮文庫)
まず、BOOK3から牛河の章が目次に追加されていてびっくり。お互いを見つけ出そうとする青豆と天吾、そして青豆の行方を探る過程で青豆と天吾のつながりに気づき徐々に迫っていく牛河。エネーチケーの集金人が不気味な迫力を醸し出しているが、なぜ彼は執拗に青豆の部屋の前に現れるんだ?そして雷鳴の夜に青豆の身に起こっていた摩訶不思議な異変・・・果たして残りあと1冊で謎は全て解けるんでしょうか?
読了日:06月03日 著者:村上 春樹

1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)
ニアミスを重ねる3人。青豆と天吾以外の人間にも月は2つに見えたという事実。牛河は…最期まで誰にも好かれないヤツだったけど、根っからの悪人じゃなかったんだけどな…。天吾は亡くなった父親の葬儀を終え、猫の町を出る意志を固める。青豆はついに天吾を見つけ、そして2つの月の光の下で2人は再会する。1Q84年の世界を出た2人の後ろには、多くの謎が残されたままだが、2人にとってはもはや関係ないことなのだろう。それにしても、この謎を広げたまま読者を置き去りにする終わり方は、やはり村上春樹流は健在だったと感じた。
読了日:06月03日 著者:村上 春樹

おれがあいつであいつがおれで (角川文庫)おれがあいつであいつがおれで (角川文庫)
オフ会で読友さんから頂いた本。「人格入れ替わり物」の古典とでもいうべき作品?文章は正直古さを感じたというか、ごめんなさい「オスガキ」やメチャクチャな男言葉・女言葉には爆笑してしまいました。思春期の多感な男子と女子の人格が入れ替わるというのは多分想像している以上に大変なんだろうな、と読んでいて感じた。表紙にもなっているが本作を原作にした映画化作品「転校生」「転校生 さよならあなた」はそのうち観てみたいと思う。映像化した方がより映える素材なんだろうなという気はした。
読了日:06月04日 著者:山中 恒

ロードムービー (講談社文庫)ロードムービー (講談社文庫)
辻村さんの短篇集ははじめて。「ロードムービー」は短編ながら叙述トリックが冴える。「道の先」「トーキョー語り」は女子中学生/高校生の持て余す感情が伝わってきて、痛々しかったが、終わり方は清々しくてホッとした。「雪の降る道」は・・・「冷たい校舎の時は止まる」のキャラが一番明確に登場しているけれど、残念ながらそれほど心に響かなかった・・・。かなり分厚い長編が多いけれど、こういう短篇集もいいな。講談社文庫から出ている作品はもうすぐ読破するのでそろそろ単行本にも手を伸ばそう。
読了日:06月05日 著者:辻村 深月

月魚 (角川文庫)月魚 (角川文庫)
三浦しをんさんは初読みかな?古書店「無窮堂」を舞台に描かれる瀬名垣と真志喜の二人の若い古本屋のお話。古書の才能を開花させたがために親友の家族関係を壊してしまうきっかけを作った瀬名垣と、あの日を境に自分と祖父の元を去った父との、遠い日の菜園の記憶をたぐる真志喜。二人が買い取りに出向いた山奥の農家で出会ったのは・・・。BLぽいという感想を見かけていたのでおっかなびっくり読み始めましたが、このくらいの匂わす程度なら平気かな。文章が美しく幻想的な雰囲気を醸し出す一冊。
読了日:06月07日 著者:三浦 しをん

天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)
今年140冊目。村山由佳さんのデビュー作とのことで、美大志望で浪人生の主人公・歩太が電車で出会った女性・春妃との純愛物語。他人からみると何ということのない日々の描写の中の主人公の心情の繊細な描写がデビュー作とは思えない。春妃のふわっとした、それでいて大人な女性像は最近読んだ本ではあまり見かけていなかったな。後半の展開はあまりにも唐突で理不尽でやるせない。でも短い時間でも一緒に暮らすまでの二人はきっと幸せだったんだろうな。
読了日:06月07日 著者:村山 由佳

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
自分達の給料はどのように決まっているのか?なぜ頑張って働いて年収を上げても生活は楽にならないのか?そんな誰もが漠然と抱くが目をそらしがちな疑問を正面切って説明している。使用価値と価値の違い、給料は労働力の再生産に必要な経費分支払われる、など今更納得。後半は前半を踏まえてどのような働き方を模索していくべきかについて。自己内利益という考え方を元に、常に全力ジャンプではなく土台を築く仕事を若いうちから積み上げることで、10年後に20%の再生産コストで同じ年収が得られるようにせよと。いずれにせよ簡単ではなさそう。
読了日:06月07日 著者:木暮 太一

イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
「あ…ありのまま読み終わって感じた事を話すぜ!『途中までごく平凡なローカルな恋愛物語だなと思っていたら、最後の2行で印象が180°逆転した』。な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…遠距離恋愛の難しさだとか就職して性格が変わっただとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
読了日:06月08日 著者:乾 くるみ

ベッドタイム・ストーリー(星海社朗読館) (星海社FICTIONS)ベッドタイム・ストーリー(星海社朗読館) (星海社FICTIONS)
いずむさんよりお借りしたCDとイラスト入りの本が1セットの本。坂本真綾さんの朗読を聴きながら読み終えた。椎名が今夜先輩のベッドの横で語るのは、彼女の持つという不思議な能力とそれを使った星遊び、そして占星術と先輩の運命について。神々の遊びを思わせる天体創造や銀河のお手玉をごく普通の女子大生が地上から行うというギャップ。先輩の運命を変える為なら惑星の破壊をも厭わない恐ろしいほどの一途さ。遠ければ遠いほど強まる彼女の能力と、先輩の宇宙の果てよりずっと遠くから呼びかけるという言葉が呼応しているのが切なくも素敵。
読了日:06月08日 著者:乙 一

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)
講談社文庫から出ている辻村作品、これにて読☆破。 しかし内容は終始重苦しい。ルポルタージュ形式で、地方都市の母と娘、合コン仲間、職場の同僚といった立場の女性同士の複雑な関係を生々しく描写している。一方からみるとどうしようもなくダメな人にも、それなりの言い分があり、絶対的な善や悪はない。端からみると仲良し親子でも、視点を変えると滑稽なほどに歪んでいる。読んでいてそんなことを感じた。どこで道を間違えたのか。そんなやるせなさを感じる事件だけれど、タイトルの意味がわかった時は不覚にもグッと来てしまった。
読了日:06月10日 著者:辻村 深月

貧乏入門貧乏入門
この本に書かれている僧侶である著者の貧乏生活をそのまま真似はできない。しかし貧乏生活本、節約本、片付け(≒断捨離)本の類を色々読んだ中で、その根幹となる精神面についてこれまでで一番納得いく内容の本だった。物が増えるほど意識はそれに割かれて思考のノイズが増える。物を持つことでアイデンティティを作り上げている。苦しみが減ったことを快感と錯覚しているが、その快感はすぐに消え苦しみのスパイラルに陥る。対策としては欲しいものではなく必要なものだけ買うこと。簡単ではないがお金に振り回されない生き方を目指したい。
読了日:06月10日 著者:小池 龍之介

お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人 (講談社文庫)お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人 (講談社文庫)
吉村葉子さんのエッセイを読むのは「お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人」に続き2冊目。同シリーズに恋愛編もあるようだけど、そちらはフランス人男性の話が鬱陶しそうなのでパスした(笑)本書はフランス在住経験が長かった著者が同国の各地を回って見聞きした、レシピがいらないほど簡単につくれて美味しい料理を紹介している。著者が神楽坂に開店した店の紹介が多くてちょっと辟易したけれど、一度は行ってみたいかも。これまでのフランス料理に対するイメージがガラッと変わった一冊。
読了日:06月11日 著者:吉村 葉子

夜の国のクーパー夜の国のクーパー
伊坂幸太郎さんの作品は何気にはじめて読んだかも。猫のトムの視点から語られる、戦争に負けた、異世界の?ある小さな国の話。10年前まで毎年送り出していた「クーパーの兵士」の謎。鉄国から送り込まれてきた兵士達と抵抗しようとするその国の住民達。現代日本から流されてきた「私」はかの国にどう関わっていくのか?それまで当たり前だと思っていた、ある立場の視点や思考が別の存在の視点があると気づいた時の世界の開け方みたいなものを、物語の随所に感じた。ページ数の割にさらりと読めて、おとぎ話のような読後感。
読了日:06月12日 著者:伊坂 幸太郎

ヘヴン (講談社文庫)ヘヴン (講談社文庫)
川上未映子さんははじめて読む作家。それぞれ同級生からのいじめを受ける主人公と同じクラスの女子・コジマ。いじめの描写があまりにも苛烈で、読み進めるのが辛かった。自分達がいじめを受ける理由やあえてそのままでいることにコジマが意味を見出そうとしているのは、そうしなければこの状況に心が耐えられないからだろうか。百瀬と主人公の会話は正直百瀬にムカつきもしたけれど、その通りかもしれないと感じる箇所もあり、複雑な気分だ。コジマと百瀬の相反する主張の間で主人公がとった決断は、不条理の中でも生きていく光になったんだろうか。
読了日:06月14日 著者:川上 未映子

武士道シックスティーン (文春文庫)武士道シックスティーン (文春文庫)
男勝りな性格で勝負にこだわる香織と、のんびりマイペースな性格で試合を楽しみたい早苗の青春剣道ライバル物語。女子スポーツ物の小説ってあまり読んだことがないが、その中でも剣道という競技なのがまた面白い。香織と早苗のライバル関係は、「ヒカルの碁」の塔矢アキラと進藤ヒカルを彷彿とさせるものがある。香織が早苗につっかかるあたり、当初のやり過ぎ感にムカつきながらも、徐々にその関係が変化していく辺りは青春だなぁ〜と。ふっとそれまでの自分の剣道に疑問をおぼえ悩む香織に周囲の人たちがかけるやさしさが暖かい。
読了日:06月15日 著者:誉田 哲也

秒速5センチメートル one more side秒速5センチメートル one more side
新海誠監督の同名のアニメ作品とそのノベライズを別の作家の新たな視点で描いた、まさに"one more side"。転校を繰り返す少年と少女の淡い初恋から青年に至るまでを描いた3話の短編という構成は同じながら、オリジナルでは描かれなかった側の心情描写に焦点を当てている。特に「桜花抄」の篠原明里からみた、遠野貴樹との真冬の逢瀬は出色の出来だと思う。「完璧な一瞬」…それがあったから、その後の貴樹の恋愛はあんな風になったのかなあと。「秒速5センチメートル」ではオリジナル版より少しだけ救いがある描写にホッとした。
読了日:06月16日 著者:加納新太

終末のフール (集英社文庫)終末のフール (集英社文庫)
あと3年で人類が滅亡するという設定の下、残された時間を生きる人々を描いた短編集。治安も落ち着き、自暴自棄で命を絶つ人もほとんどいなくなり、束の間の平穏な時間。その中でも過ごし方は各者各様で、復讐を誓う者、本を読んで過ごす者、いつも通り鍛錬に励む者、擬似家族を演じる者…。実際になってみないとわからない事だけど、自分も死ぬ時が決まっているのならそれまでの時間を絶望に押し潰されて生きるのではなく、やり残したことがないよう精一杯生きたいなあと。「冬眠のガール」のように引きこもって読書するのにはちょっと憧れた(笑)
読了日:06月16日 著者:伊坂 幸太郎

光待つ場所へ光待つ場所へ
☆ゆう☆さんよりお借りした本。過去の辻村作品からのスピンオフ短篇集。タイトルが示唆するように、3篇とも登場人物たちが光に向かって一歩前へ歩き出すお話。個人的には、本編で憎まれ役だった千原冬子が主人公の「チハラトーコの物語」が好き。人を傷つけないとは言えども嘘はよくないことだと思うが、それによって思春期に自分の居場所を確保してきた彼女を否定することはできない。でも赤羽環に言われたように、世界と繋がりたいなら、自分の力で実現させるしかない。オタクの司書教諭への切ない初恋も良い。それにしても郁也は出過ぎだろ〜。
読了日:06月17日 著者:辻村 深月

100回泣くこと (小学館文庫)100回泣くこと (小学館文庫)
第1章の、バイクのキャブレターを分解洗浄していく描写がいい。著者の中村航さんは工学部出身だから、こういう描写が得意なのかな。第2章のこういう何気ない日常の二人のやり取りがいい。第3章は・・・やるせなさすぎる。自分の家族のことも思い出してしまって、うまく感想が出てこない。
読了日:06月17日 著者:中村 航

沈黙入門 (幻冬舎文庫)沈黙入門 (幻冬舎文庫)
現役の若手僧侶である著者のデビュー作。人づき合いについての本だが、特に自分濃度を薄める、つまり「自分が自分が」とならないための意識のコントロール法を中心に書かれている。愚痴を言わない、などは他の本にもよく書かれていることだが、これは大切だと思う。天皇陛下のようにゆっくり話す、話の腰を上手に折ってあげるなどは面白い。著者の他の本を先に何冊か読んでいたので、考え方はけっこう被っているところが多かった。
読了日:06月18日 著者:小池 龍之介

オープンソースがなぜビジネスになるのか (MYCOM新書)オープンソースがなぜビジネスになるのか (MYCOM新書)
オープンソースの発祥と、それがビジネスの領域にも展開していった歴史をさっくりと解説する本。前半はオープンソース運動を推し進めたリチャード・ストールマンの話が中心で、オープンソースハッカーと著者の交流も絡めて書かれている。OSSのビジネス展開については、企業がソフトウェアを全て自前で開発するよりもオープンソースを適切に利用するのが合理的となっていると述べているが、ちょっと踏み込み不足な気がした。
読了日:06月19日 著者:井田 昌之,進藤 美希

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の美人店主・篠川栞子と、本が好きだけど読めない体質の五浦大輔が古書にまつわる謎を解き明かすシリーズ第3弾。今回は古書市場で起こった盗難事件や、題名も著者もわからない本探し。ミステリーとしては軽めでサクッと読めるが、謎解き自体よりも古書とその持ち主にまつわるエピソードが本書の眼目。今回の3編に登場する家族のいずれにも、それぞれに複雑な思いを抱えている。栞子さんと10年前に失踪した母・智恵子との関係もまた然り。定番となった対になるプロローグとエピローグでは衝撃の事実が…。早くも続きが気になる。
読了日:06月20日 著者:三上延

平常心のレッスン (朝日新書)平常心のレッスン (朝日新書)
最近、小池龍之介さんの本を何冊も読んでいて、大体同じ様なことが書かれているので少々飽きてきた感はある。本書はタイトルの通り、平常心で生きるための意識や感情のコントロール法を説いている。心は浮き沈みするものだと認識し、あるがままを受け容れること。喜怒哀楽の感情のうち、「哀楽」はもちろん、「喜」の感情もそれよりはマシだが、心おだやかに生きるためにはあまり望ましいものではないというのは割と新鮮な考え方。「ま、いっか」の精神は日々のストレスフルな生活で常時保つのは難しいが、心の片隅には留めて思い出すようにしたい。
読了日:06月22日 著者:小池龍之介

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)
10代の終わりに映画を観て、原作も読んだ懐かしい作品。フィレンツェで絵画の修復士として働く阿形順正は、かつての恋人・あおいと交わした約束を未だに忘れられないでいた。「私の30歳の誕生日に、フィレンツェのドゥオモで逢いましょう…」変わらない古い街並みと過去の記憶にすがる彼の生き方がオーバーラップする。けなげな恋人を傷つけても、親しい人達のの裏切りや死があってもあおいとの守られるかもわからない約束だけを頼りに生きてきて…。最後の最後、ようやく自分の意志で未来へと踏み出した彼にホッとした。
読了日:06月24日 著者:辻 仁成

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
辻仁成さんの同名作品「Blu」と対を成す江國香織さんの作品。順正視点のBluに対し、Rossoではあおい目線で順正と別れた後ミラノに帰った彼女の生活を描く。順正側が色々事件が起きたり場所がフィレンツェから東京へ飛んだりと騒がしかったのに対し、こちらは終始ほとんど物語の起伏もなく穏やかに進む。それでいて、順正からの手紙をきっかけにどうしようもないほど心揺さぶられる、あおいも全然過去を想い出にできていなかったわけで。順正からみたあおいと本人の心の内と、その捉え方の違いは面白い。
読了日:06月25日 著者:江國 香織

ふちなしのかがみ (角川文庫)ふちなしのかがみ (角川文庫)
辻村さんのホラー短編集。「踊り場の花子」はいかにも学校の怪談なお話。本書収録作品では一番好きかな。「ブランコをこぐ足」はこっくりさんを作中に織り込んだ学校内カースト?の話。人間のが霊よりよっぽど怖いという気にさせられる。「おとうさん、したいがあるよ」はシュールで読んでいてわけがわからなくなる。「ふちなしのかがみ」は人間の狂気と辻村さんの叙述トリックが冴えるホラー&サスペンス。「八月の天変地異」はホラーで冷えた肝を〆にほんのり暖めてくれる、少年たちの一夏の不思議な体験。現実と非現実の境が曖昧になる作品達だ。
読了日:06月26日 著者:辻村 深月

浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)
浜村渚シリーズも3巻目。回を重ねるごとにこなれて面白くなっている気がする。今回は論理学や三角関数、幾何学を絡めた謎解き。『クレタ島・嘘つき迷宮』は元塾講師のテロリスト・えぴめにDeathと渚の対話が微笑ましい。『アイシテルの正弦』では三角関数の基礎を渚が友人の恋愛にたとえた説明が秀逸。『「プラトン立体城」殺人事件』はプラトン立体を使ったトリックと謎解きが読み応えがある。『武田斐三郎の街で』はキューティー・オイラーとまさかの共同戦線、そして最後にはやはり数学への愛で〆る。テロリストとの戦いはまだまだ続く…。
読了日:06月26日 著者:青柳 碧人

インクジェット時代がきた!  液晶テレビも骨も作れる驚異の技術 (光文社新書)インクジェット時代がきた! 液晶テレビも骨も作れる驚異の技術 (光文社新書)
テレビ番組でインクジェットを利用して立体のフィギュアを作れるようになっているのは見て知っていたが、本書を読むと改めてその凄さがわかる。インクジェットには現在、主にはサーマル方式とピエゾ方式の2つの方式があるとのこと。インクジェットというと「印刷」の技術という印象があるが、その本質は型を使わず、少数多品種生産に向き、より資源を節約できる新しい製造技術の主流なのだと。食品、アパレル、液晶画面、紙上の電気回路、鋳物、人工骨、そして未だ研究段階だが細胞組織の形成・・・と想像以上に利用されていることを知り驚嘆した。
読了日:06月27日 著者:山口 修一,山路 達也

坊主失格坊主失格
著者・小池龍之介さんの過去の所業は断片的な知識としては知っていたが、改めて本書で読むと予想以上に酷かった。愛情に飢えてわがままし放題だった幼少期、他人の関心をひきたくて道化を演じた高校時代、支配欲に駆られ恋人を傷つけた青年期…。今の落ち着いた僧侶姿からは想像できない、著者のダメ人間ぶりの赤裸々な告白。その時々の心理を振り返りながら分析しているが、中には自分にも思い当たる心理状態もあり、余計身につまされる。坐禅瞑想によって立ち直った過程はもう少し詳しくてもよかった気がするが、それは別著に譲るということか。
読了日:06月28日 著者:小池 龍之介

モタク モテるオタクになる恋愛ガイドモタク モテるオタクになる恋愛ガイド
さすがアルテイシア!男性作家には書けない事を平然と書いてのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!・・・表紙でまず引きそうになるかも知れませんが安心して下さい。中身にはもっとドン引くことうけ合いです(オイ 本文中にふんだんに盛り込まれたガンダムやジョジョその他のネタにはほとんどついていけませんでしたが・・・(;・∀・) 「オタクがオタクとして幸せになれる」ための、女性ならではの視点が豊富な恋愛ガイド。著者の造語だが、「塩むすび路線」というのは見習いたいかな。
読了日:06月28日 著者:アルテイシア

夏休み (集英社文庫)夏休み (集英社文庫)
表紙に惹かれて購入したら、全然関係ない上に学生モノでもなく社会人の「夏休み」だったというのは他の方々も感想に書いている通り。「100回泣くこと」でも思ったけれど、この著者のモノを分解していく描写はいかにも工学部出身だなあという印象を受ける。そこが割と好きなんだけども。吉田くんとマモルの約束が思いもよらない形で現実になりそうになって焦るくだりはヒヤヒヤしたけれど、いっそのことそのままバッドエンドになってしまえばいいのに、と黒いことを考えながら後半は読んでしまいました(汗)
読了日:06月30日 著者:中村 航

ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)
ココロコネクトシリーズ2冊目の短編集。文研部創設時のエピソード、稲葉と永瀬の友情物語、唯・稲葉・中山のトリプルデートの話、藤島と紫乃・千尋の1年生コンビのリア充探求の話。初々しい唯・青木と中山・石川の2組のカップルと、早くも円熟味を醸しつつある稲葉・太一組。前2組は女子側が空回り気味で初デートは失敗続きだけど、こんなことくらいで愛想を尽かす相手じゃなくてよかった。「自分達が一つ一つ積み上げていくもの、それが合わさって、恋愛になるんだ。」青木の台詞がマジでかっこいい。次で最終巻なのが惜しい。
読了日:06月30日 著者:庵田定夏

「自分」を浄化する坐禅入門[増補改訂版]「自分」を浄化する坐禅入門[増補改訂版]
小池龍之介さんによる坐禅瞑想の入門書。10ステップあって、1つのステップを十分にできるようになってから次にいってくださいとのこと。呼吸を意識しながら観察力を磨き、集中力を高めていく内容となっている。自分は1ステップ目なので効用についてはなんとも言えませんが、少しずつやってみよう。
読了日:06月30日 著者:小池 龍之介

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