calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2012 >>

profile

categories

archives

Twitterはこちら。

読書メーターも日々更新中。

babooconの最近読んだ本

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 2015.08.31 Monday
  • -
  • -
  • -
  • | このエントリーをはてなブックマークに追加
  • by スポンサードリンク

2012年9月の読書まとめ

2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:30冊
読んだページ数:8584ページ
ナイス数:2578ナイス

気がついたら、自動生成されるHTMLタグをコピペするだけの簡単なお仕事である読書まとめ記事すら滞っていました・・・。

読書メーターは日々更新しているのですが、感想が書けなくて溜まってしまい、それが嫌でブログに記事としてアップするのが憚られるという悪循環におちいってしまっています。

読んだ本の感想は100%を目指しているのですが、あまりうまいことを書こうとせず、読み終えた直後のライブ感を大切にすぐ書くべきかななどと考え直しています。

9月も1日平均1冊は達成。

面白い本はいくつもありましたが、個人的に一番いいな、と感じたのは「詩羽のいる街 」です。
詩羽という女性がお金を一切持たず、街の人々に親切をすることで生活に必要な物資や寝泊まりする場所まで提供し生活しているというちょっと荒唐無稽な設定。けれど読んでいるとこんな街が1つくらいあってもいいんじゃないかと思わされてくる、素敵な物語です。お金がなければ何もできない、生きていけないと思い込まされている資本主義社会に生きる僕たちへのアンチテーゼであるとともに、マンガ・ライトノベル・アニメといったサブカルチャーにまつわるエピソードや風刺も織り込まれた極上のエンターテインメントとなっています。

殺戮にいたる病 (講談社文庫)殺戮にいたる病 (講談社文庫)感想
実はある感想がヒントになって(といってもネタバレとはいえない)、トリックには途中から勘づいていた。それでも最後の最後まで確信が持てず、ラストシーンでようやく「やっぱりそうだったんだよね!」と思えた。著者の鮮やかな手口は、お見事としか言いようがないです。途中のエログロ描写にはけっこうウンザリしたが、読んでよかった。
読了日:9月2日 著者:我孫子 武丸

学校で教えない“お金"を生む発想法学校で教えない“お金"を生む発想法感想
岡野雅行さんの本では初めて「お金を稼ぐ話」にこだわってみた、とまえがきにはあったが、「カネはあとからついてくる!」などでもその話は出ていなかった?実際、岡野さんの他の著書に書かれている既知の内容も多かった。とはいえ、信用が何より大事、博打や財テクに走るよりも仕事に打ち込む、自分という人間に投資をする、お金は天下の周り物、貯め込むのではなく人のために使わなきゃいけない、といった言葉は超一流の職人である岡野さんが言うと重みがある。お金の使い方を知らない人間は、お金を大きく稼ぐこともできないのかな、と。
読了日:9月2日 著者:岡野雅行

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)感想
主人公の家族、というか母親との関係が見るに堪えなくて序盤は読み進めるのが辛かったが、クラスメイトを殺した犯人の証拠探しにハラハラしたかと思えば、そこから急展開する後半のサイコサスペンスに呑み込まれ一気に読んでしまった。叙述トリックは途中の描写に随所に違和感をおぼえる箇所があったせいかさほど驚かなかったが、読み終えてからその主観と現実が曖昧になった狂気の世界を振り返るとじわじわと来るものがある。決して気持ちのいい作品ではないが、よい意味で「奇書」と呼べるのではないだろうか?
読了日:9月3日 著者:道尾 秀介

新訂 いい会社をつくりましょう新訂 いい会社をつくりましょう感想
かんてんぱぱで有名な伊那食品工業の経営者塚越寛さんの経営哲学を説いたロングセラーの新訂版。旧版も読んだけれど、この新訂版ではその後の同社と世の中の動きを踏まえた記述も追加された。社員の幸せを会社の第一の目的に据え、その通りの経営を約50年間実践してきた塚越さんの言葉の重み。会社の成長は必ずしも善ではないと述べ、ブームに乗って急拡大する事を戒め、着実な低成長を目指す彼の考え方は経営者としては異端中の異端だけれど、それが故に48年連続増収増益などという離れ業を残せたのだろう。
読了日:9月5日 著者:塚越 寛

探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)感想
ジャケット買い。視覚以外の4感がないという青年・日暮旅人。唯一残った視覚が他の感覚を補うように音や臭いが「視える」というかなり突飛な設定。その視覚を使って、他の人には見つけられない「探し物」を見つけ出す探偵業をやっている。娘の灯衣の通う保育園の山川陽子が落し物を見つけてもらったのがきっかけで彼ら親子に関わるようになるが…。ハートフルな人情探偵物かと思っていたら、最後の短編の終わり方にびっくり。旅人の行動、そしてイメージをひっくり返すような台詞。旅人さん、あんた一体何をしようとしてるんだ。
読了日:9月7日 著者:山口 幸三郎

V.T.R. (講談社ノベルス)V.T.R. (講談社ノベルス)感想
辻村深月作品の登場人物、チヨダコーキのデビュー作の本書。西部劇風な世界観やマーダーのライセンスという設定は確かに他の辻村作品とは一風違う。元彼女アールからの3年ぶりの電話を機に動き出す、マーダーのライセンスを持つがヒモ暮しのティー。アールとの共通の友人達との会話や回想の末に彼が辿り着いたのは…。ライトノベルで殺し屋という題材ながらドンパチあるわけではなく、終始淡々とした語り口。アール視点の心情も描いて欲しかった気はするが、このニヒルな終わり方はあくまでティーの視点だけでなくてはならなかったのかもしれない。
読了日:9月7日 著者:辻村 深月

神様のカルテ 3神様のカルテ 3感想
ドラマはいつも人が連れて来る。救急車で運ばれてくる依存症患者の横田さんや榊原さん、そして美人女医・小幡奈美。相も変わらずままならない地域医療の最前線で、一止は再び自分の価値観を揺さぶられる。患者を選択するような冷たさと、常に最新・最善の医療を目指す努力を怠らない小幡の苛烈な生き様。さらに主治医として痛恨の事件を経て大学病院へ行くことを決意した一止には、心のみならず技も兼ね備えた医師として再び本庄病院に戻ってくる日を期待したい。
読了日:9月8日 著者:夏川 草介

夜と霧 新版夜と霧 新版感想
「神様のカルテ」作中で何度か触れられていたので読んでみた。アウシュヴィッツ強制収容所に送られて生還した心理学者である著者の壮絶な体験。人間としての尊厳を徹底的に奪われた環境の中で、生きて収容所を出ることではなく、その苦しみに「生きる意味」を見出した著者にただただ畏敬の念あるのみだった。悟りを開いた賢人のような境地、というのとはまた違うかも知れないが、一体どうすればそのような境地に達することができるのか。正直読み込みが足りない気がするので再度読み返してみたい。
読了日:9月9日 著者:ヴィクトール・E・フランクル

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)感想
あるウェブサイトの独自ミステリランキングに載っていたので読んでみた。現在と2年前の話が交互に綴られ、この行動には何の意味が?あの人達はどうなっちゃったの?と、どう収束するのか気になっていたら・・・。結末は意外にあっさりだったけど、とても切ない。また上記ウェブサイトでほのめかされていた作中のトリック。見事にはまってしまって嬉しい「やられた〜!!」この作品が映画化されていると知って、観てみたくなった。
読了日:9月9日 著者:伊坂 幸太郎

ラブコメ今昔 (角川文庫)ラブコメ今昔 (角川文庫)感想
単行本でも読んだけれど、文庫で再読。前に読んだ時は「秘め事」と「ダンディ・ライオン」が好きと書いたけれど、今回は「広報官、走る!」もよいと思った。国の有事に際して最前線を務める自衛隊員の覚悟を感じた。「軍事とオタクと彼」は、こんな出会いあるかよ!ってつっこみたくなるが、オタクでチビながら優しくて、それでいて男らしい森下みたいに自分もなりたい。
読了日:9月12日 著者:有川 浩

速読の科学―脳の「読書回路」を解明する (カッパ・サイエンス)速読の科学―脳の「読書回路」を解明する (カッパ・サイエンス)感想
他の速読本で触れられていたので読んでみた。1995年初版とけっこう古い本で、フォトリーディングなどと対をなしている1文字1文字を全て追って読んでいく速読法の古典(?)のようだ。途中の脳波の測定などによって速読できる人の脳の活動を科学的に説明しようとしているが、やや胡散臭さを感じる。後半は今までの三倍の速さを実現すると銘打って速読トレーニングのさわりを紹介しているが、他の本でも書かれているような(というかより最近の本がこれをパクった?)方法だったので果たして効果はあるか?続けてみないとわかりませんが・・・。
読了日:9月12日 著者:佐々木 豊文

欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)感想
「車を欲しがらず、酒は飲まない。物欲が乏しい。クリスマスでも恋人に宝飾品を贈らないらしい」のが最近の若者だそうです。僕も著者の定義した世代(本書執筆当時20代)ですが、現状車は要らないし酒も嗜む程度。大体当てはまってるかな?著者は若者のこうした消費性向が経済や社会の構造変化に伴った非可逆的な動きであるとし、上段に構えた批判的な視点ではなく中立的に冷静に分析している点で好感がもてた。
読了日:9月14日 著者:山岡 拓

バカの壁 (新潮新書)バカの壁 (新潮新書)感想
10年近く前のベストセラーだが、今更ながら読んでみた。脳の中の係数というたとえは、なるほどなあと思う。係数が0だったり無限大というのは両極端だけど、それに限りなく近い人間というのはいるもので、自分が気がつかないうちにそうなっていないかと冷や汗をかいた。情報が日々変化すると思われがちだが、情報はむしろ不変で、人間含めて万物が流転しているのだというのもハッとさせられる。現代人が身体を忘れて脳だけで動くようになったことの弊害についても述べているが、身体感覚を大事にするという点は小池龍之介さんの著書を思い出した。
読了日:9月16日 著者:養老 孟司

おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)感想
勝利の父はもうちょっと修羅場見た方がいいんじゃなかろうか?なんていうくらいごちそうさま。勝利とかれんはほとんど初めての修羅場。勝利はやっぱり星野にもっと早くかれんとの関係を打ち明けておくべきだったよな〜。それにしても、星野は苦手だ自分は。
読了日:9月17日 著者:村山 由佳


ネオカル日和ネオカル日和感想
このエッセイにて既刊の辻村作品、全て読了(正確にはノベルスの『光待つ場所へ』に掲載された短編1つだけ読んでないが・・・)。いつもの小説とは違い、登場人物ではなく辻村さん本人の言葉でつづられる様々なサブカルチャーへの想いは、だけどやっぱり辻村作品の底流にある何かがにじみ出てくるようだ。「凍りのくじら」をみてもわかるけれど、ドラえもんが本当に好きなんだな〜。ショートショートや短編は他にリンクがあるのか知らないけれど、新鮮に感じた。こどもから大人になる過渡期を見守る猫のお話、目のつけどころが面白い。
読了日:9月17日 著者:辻村 深月

詩羽のいる街 (角川文庫)詩羽のいる街 (角川文庫)感想
面白い。だけじゃなく色々示唆に富んでいる、そんな小説。お金を持たず他人に親切にすることを生業とする女性、詩羽。彼女を触媒として、幸せの連鎖が起こる街。あり得ない設定だけど世界のどこかに一つくらいこんな奇跡があってもいいんじゃないかと思わされる。作中で人気連載漫画の長尺化を皮肉ったり、ヒロインの過去にあえて触れなかったりと現実のサブカルチャーへの風刺も我が意を得たりというところ。詩羽が「天敵」である悪人をやり込める手口は痛快だった。
読了日:9月17日 著者:山本 弘

身体を通して時代を読む―武術的立場 (文春文庫)身体を通して時代を読む―武術的立場 (文春文庫)感想
内田樹氏と武術家の甲野善紀氏の対談をまとめたもの。主に身体感覚をおろそかにした現代日本社会を憂慮する内容。「『学び』とは別人になること」「変化の仕方そのものが変化するのが『天才』」など気になるフレーズがちらほら。科学では説明しきれないという甲野氏の身体操作術に触れてみたい。常に自らの術理を新しい仮説を立てては壊していく姿勢も見習わなくては。
読了日:9月18日 著者:甲野 善紀,内田 樹

百姓が地球を救う百姓が地球を救う感想
「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんが実践してきた無農薬・無肥料の「自然栽培」を解説した本。木村さんの自然栽培に挑戦し数多くの失敗してきた経験と共に、一般的な農法との違いや、既存の農家が自然栽培を実行に移す上での注意点が説明されている。自然栽培は放ったらかしではなく、農薬など人工物に頼らない分、人間の目と手を使って自然をよく観察してやることが大事。1、2年は害虫の発生に悩まされるなど根気が要る大変な手法なのは間違いない。それでも、人間の健康な食のため、この手法を採用する農家にもっと増えて欲しいものだ。
読了日:9月19日 著者:木村 秋則

燃焼のための習作燃焼のための習作感想
初めて読んだ作家だけれど、改行がない独特な文体。登場人物は3人、場面転換も(いずれも回想を除く)ほとんどない。読んでいると自分まで枕木たち3人の側で会話を聴いているような気分になる。会話はあちこちに飛びつ戻りつして、最後まで読んでも何だかモヤモヤするのは自分の読解力のなさなのか。ジャンル分けするならミステリーぽいけれど結末を知るというよりも会話の流れを楽しむ作品なのだろうか。
読了日:9月19日 著者:堀江 敏幸

GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)感想
本と肉の会で戴いた本。乙一は週刊少年ジャンプに読切原作を掲載していた頃から知っていたけれど、何気にちゃんと読んだのは初めて。猟奇的な殺人事件に興味を示す高校生の「僕」と森野。殺人現場の描写は尋常ではなく陰惨な状況なのに、不思議と静謐さが漂う。奇想天外な(ミステリーマニアにはそうでもないかも知れないが)トリックにはまんまとひっかかり、楽しませてもらった。
読了日:9月22日 著者:乙一


GOTH 僕の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)感想
夜の章に続いて読了。前巻に引き続きこんなに異常犯罪者が沢山いてたまるかってくらい(笑)、「僕」と森野の周りで猟奇的な事件が起こる。前巻でも感じたけれど、森野は賢いようでどこか天然だ。今回のトリックにもあっと言わされたけれど、被害者がまだ生きている時の描写がなんとも悲痛でやりきれない。
読了日:9月22日 著者:乙一


探偵・日暮旅人の失くし物 (メディアワークス文庫)探偵・日暮旅人の失くし物 (メディアワークス文庫)感想
5感のうち視覚以外を失った日暮旅人が、普通では見えないものも視えるというその眼を頼りに活躍するシリーズ第2弾。「老舗の味」「母の顔」は普通の人たちの「捜し物」を旅人の常人離れした眼を頼りに見つける日常系。「死体の行方」「罪の匂い」は犯罪絡みで普段は穏やかで人当たりの良い旅人の闇の部分も・・・。旅人が4感を失うに至った幼い頃の出来事も明かされ、彼の目的も徐々に明らかに。嗅覚を一瞬取り戻した時の異様な喜び方に彼の闇の深さを感じた。
読了日:9月23日 著者:山口 幸三郎

探偵・日暮旅人の忘れ物 (メディアワークス文庫)探偵・日暮旅人の忘れ物 (メディアワークス文庫)感想
シリーズ3巻目。「隣の静寂」は単独の短編としても十分面白い。「爆弾魔の憂鬱」はコントのような爆弾魔と日暮旅人の追いかけっこに笑ってしまったが、最後の旅人のとった行動は狂気じみていて後々への不安を感じさせる。「雪の道」では、ユキジの意外な家庭事情や旅人との出会いが描かれていて、ユキジというキャラの好感度UP。それにしても何かにつけドラッグやヤクザの話が出てきて、旅人の過去に絡んでくるだろうとはいえもう少し日常の穏やかな話を読みたい気分。
読了日:9月23日 著者:山口 幸三郎

探偵・日暮旅人の贈り物 (メディアワークス文庫)探偵・日暮旅人の贈り物 (メディアワークス文庫)感想
一応、シリーズ完結巻?(現時点ですでにセカンドシーズン出ているみたいですが)旅人が視覚以外の感覚を失うきっかけになった事件、その実行犯、彼の両親の死の真相、ユキジの父親、と色々つながってクライマックス。旅人の黒い部分はもっと見せてしまった方がよかったのではという気もする。なぜか巻き込まれてしまった山川陽子がおいしい役を持って行ってます。旅人の陽子に対する感情は好意以上のものがあるんだろうけど、何だかもどかしいな。
読了日:9月23日 著者:山口 幸三郎

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉感想
「フラット化する世界」の続編のような印象を受けた。グローバル化が進み、ますます時間に追われ孤独さも増す仕事の未来予想図と、それを回避するための方策を示している。「広く浅く」のゼネラリストから連続スペシャリストへ、孤独な競争から「協力して起こすイノベーションへ」、大量消費から「情熱を傾けられる経験へ」という三種類の「シフト」。実際問題としてひとつの道のスペシャリストになるだけでも大変なのに、そのスペシャリストの知識と技能を一生のうちに何回もつけられるのかという疑問はあるが、概ね納得はできた。
読了日:9月26日 著者:リンダ・グラットン

光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)感想
アンソロジー「きみが見つける物語」で「大きな引き出し」を読んで気になって読んでみた。不思議な力を持つ常野一族を描いた短編集。全体に漂う物悲しさは常野一族が辿ってきた運命ゆえだろうか。戦時中の山奥の分校の悲劇を描いた「光の帝国」はそれだけで一篇の長編になりうるストーリー。個々の登場人物の能力はもっと掘り下げられると思うけれど、1つ1つのエピソードが短くて残念な気がした。
読了日:9月27日 著者:恩田 陸

ココロコネクト アスランダム 上 (ファミ通文庫)ココロコネクト アスランダム 上 (ファミ通文庫)感想
「ココロコネクト」シリーズ最終章にして初の上下巻構成。前回の『現象』の時にこれが最後だと言っていた<ふうせんかずら>。しかし今回再び文研部の5人組の周囲に怪しげな出来事が起こり始めて…? 最後に相応しく、予想外の出来事の連続。文研部のメンバー以外の生徒達が大規模に巻き込まれただけでなく、失ってしまうモノもあまりにも大きい。無力感に苛まれる彼らに勇気を与えたのは、しがらみとばかり思っていた家族の「絆」。たとえ何もかも忘れてしまおうと、家族の絆はなかったことにはできない。それを命綱に、彼等は最後の戦いに挑む。
読了日:9月28日 著者:庵田定夏

黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)感想
大学時代に本屋で見かけて読みたいと思いつつ読まず終いだった本。今さらながら読んでみた。生命保険会社の業務模様や、生命保険絡みの犯罪のディテールは秀逸。しかしそれにも増して、情性欠如者の偏執的な執念深さ、残酷さ、狡猾さには読んでいて身体の震えが収まらなかった。警察の民事不介入という名の無関心、そして社内の人々の、若槻を心配しながらも結局は他人事という状況下で、常軌を逸した行動を取ってくる殺人鬼の魔の手から自分が若槻の立場だったら果たして逃げ切れただろうかと考えてしまった。
読了日:9月30日 著者:貴志 祐介

できそこないの男たち (光文社新書)できそこないの男たち (光文社新書)感想
男女の性別を決定するのは何なのか。Y染色体の発見やそれに含まれる性決定遺伝子の特定に至る歴史をひもとき、かみ砕いた言葉で解説している。生物の基本となる性はメスでありオスはそこからカスタマイズされて生み出される、という知識は何となく知っていたが、長い生命の歴史の中でもオスが急ごしらえで不完全であり、ストレスや病気に弱くメスより生物として弱いというのはなかなかショックなものがある。その「できそこない」のオスが人間では世界を支配しているように見える理由の仮説は面白い。男系血統の話も皮肉が効いていていい。
読了日:9月30日 著者:福岡 伸一

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)感想
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」の姉妹本だと聞いて。さらっと読めるし、特に何が起こるわけでもないのだけれど、ノスタルジーを感じさせる月舟という町の食堂に集う人々ののんびりとした会話はほっこりする。先生、ちゃんと奈々津さんに脚本を書いてあげなよ。
読了日:9月30日 著者:吉田 篤弘

読書メーター

| 1/1PAGES |