2013年5月の読書メーター読んだ本の数:27冊
読んだページ数:7763ページ
ナイス数:1455ナイス
5月も4月よりは持ち直したとはいえ、1日1冊には届かず。
感想もずるずると書けないままの作品が多くてちょっと気持ち悪いです。
新刊の「
Yコンビネータ―」は「
ハッカーと画家」で有名なLISPハッカー・エッセイストであるポール・グレアム氏が仲間と立ち上げたスタートアップ・ファンドの主催するスタートアップ養成スクールの2011年夏学期を密着取材したノンフィクションです。モノになるかどうかもわからない新規ビジネスを3ヶ月間という短期間で集中的に開発する若者たちの熱気あふれる現場の様子が描かれています。
「
それがぼくには楽しかったから」は1991年に公開されて以来またたく間に世界中に広がったオープンソースOSであるLinux(正確にはそのコア部分であるLinuxカーネル)の開発者、リーナス・トーバルズ氏の自伝です。お金儲けが目的ではなく、純粋にコンピュータをいじり倒すことに熱中した結果として世界中で広く利用されるOSをつくることになったリーナス氏のかざらない文章が印象的でした。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)の
感想ハワイですれ違ったキキを追った先で「僕」が目の当たりぶした六体の白骨が暗示するものとは?事態は動かないようでいて、僕と関わった人は通り過ぎ、そのうちの幾人かは死という形で去っていく。他の村上春樹の作品と比べても死のにおいが直截的にせまってくる下巻。上巻に比べても重苦しい雰囲気の中にあって、少女ユキの存在は一種の清涼剤に感じられた。後半の展開はどういう結末に落ち着くのか読めず、ハラハラした。
読了日:5月1日 著者:
村上 春樹旅猫リポート副読本の
感想オリジナル登録本。紀伊國屋書店で売っていた、演劇版「旅猫リポート」のプログラム。薄い冊子ながらも、主演の阿部丈二さんと有川浩さんの対談や各出演者のコメント、単行本未収録の旅猫リポート外伝に演劇版の脚本と読み応え十分。有川さんは対談の中で脚本を自分で余分なエピソードをけずったと仰っていたが、短いながらも小説版の要点は抑えられてて、この辺りの編集はさすがだなと。値段はけっこうしたけど、満足の一冊でした。
読了日:5月3日 著者:
有川 浩 黄金の王 白銀の王 (角川文庫)の
感想以前小飼弾さんが書評で絶賛していたので気になっていたファンタジー小説。お互いに憎しみ合い殺したいという衝動に駆られる一族の頭領同士である穭(ひづち)と薫衣(くのえ)の二人が、翠の国のためにきわめて困難な共闘という道を選ぶ。仇敵同士である鳳穐と旺廈をいずれはひとつにするという遠大かつ茨の道を決断した穭、そしりを受けても囚われの身であり続けることを受け入れた薫衣、どちらも家臣や民衆にその真意が理解はされなくとも稀にみる賢王だ。途中何度か薫衣が蜂起するかと思われた局面での彼の葛藤と決断に胸を打たれた。
読了日:5月5日 著者:
沢村 凜 完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)の
感想タイトルが気になっていたが、映画化されると知り読んでみた。文章はサラサラと読みやすいのだけど不思議な読後感。途中で薄々結末が読める展開ではあるけれど、何が現実で何が夢なのかわからなくなる感じは(全然違うのだけど)「ドグラ・マグラ」を思い出した。映画のキャスティングや文庫の帯の裏の監督インタビューを読む限りでは原作とは大分違っていそう。
読了日:5月6日 著者:
乾 緑郎 企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)の
感想「僕がアップルで学んだこと」の松井博さん(@Matsuhiro)の新著。面白い、という感想はこの場合不適切かも知れないが面白い。読みながら無性に悔しいと思った。現代の帝国と化した大企業の前になす術もない無力さに。それでもそれらのサービスや商品を全く使わずに生活するのは困難であろうことに。階層化している世界の労働市場の中で、ぬるま湯とも言える環境で漫然と働いているに等しい自分に。薄々とは知っている事柄が多くても、様々な具体例をこれでもかと見せつけられると衝撃は大きかった。
読了日:5月7日 著者:
松井博