2013年1月の読書メーター読んだ本の数:29冊
読んだページ数:8537ページ
ナイス数:1501ナイス
フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)の
感想新年1冊目は久しぶりの有川浩。近所からの陰湿ないじめを長年一身に背負い続けて心を病んだ母。母の異状にも気づかず、自分勝手にダラダラ過ごしていた誠治、自分のことが一番かわいくて母の病にも理解を示さない父と母の唯一の理解者だった姉、という家族間の葛藤がリアルで、人間くさくて、生々しくて、やり切れない。一念発起して再就職に成功してからの誠治は少し出来過ぎな気もするけれど、家族がそこまでなっても駄目な奴は駄目だろうから、彼は間に合っていたんだよ。
読了日:1月1日 著者:
有川 浩武士道セブンティーン (文春文庫)の
感想剣道の強豪校・福岡南に転校した早苗と東松でチームの一員としての意識が芽生えた香織。早苗は福岡南の稽古方針や二年生エース黒岩レナの競技としての剣道観に戸惑う。遠く離れてしまっても、お互いに影響を及ぼしあった二人がそれぞれの環境で武士道について考え悩み、自分なりの道を見出していく様子は清々しい。
読了日:1月3日 著者:
誉田 哲也貧乏入門の
感想『リフレイン読み』10/10(通算11回読了) 2013年01月04日読了。昨年、最も多く読み返した本書。所有物を増やすこと、お金を増やすことは必ずしも幸福にはつながらないということ。もっともっと、という欲望の連鎖を断ち切り、欲しい物を減らすことでお金があってもなくても幸福感を得られる境地を目指したい。
読了日:1月4日 著者:
小池 龍之介東京バンドワゴン (集英社文庫)の
感想古書店「東京バンドワゴン」を営む大家族の堀田家。三代目・勘一の妻サチ(三年前に亡くなっている)が語り手というのが面白い。古書店の周辺で起こるちょっとした事件や謎をめぐるミステリ風味の群像劇。個性豊かな家族の日常はその複雑な家族構成にさえ慣れてしまえば読んでいて飽きない。特に還暦で現役ロックンローラーの我南人のキャラがいいねぇ〜。LOVEだよぉ。
読了日:1月5日 著者:
小路 幸也ラッシュライフ (新潮文庫)の
感想いずれもよからぬ事を企てたり、巻き込まれたりしている他は全く関係のなさそうな5人の視点から話が並行して進んでいく。後半で著者の仕掛けに気づいた時は冒頭の挿画に込められた暗喩にニヤリとしてしまう。エッシャーの騙し絵のようなグルグル無限ループ。読み終えて因果応報という言葉が思い浮かんだ。
読了日:1月5日 著者:
伊坂 幸太郎塩狩峠 (新潮文庫)の
感想実話を元にした、信仰と生きる意味について悩み考え続けた永野信夫という一人の人間の生涯を描いた作品。幼い頃に母が自分を見捨てて家を去ったという心の傷を負った少年時代。自分以外の家族がキリスト教であることに反発しながらも、思いを馳せる女性ふじ子もキリスト教徒であることに悩んだ青年時代。長らく反発し続けた故にひとたび信仰を抱いてからは誰よりも熱心な宗徒になったのだろう。塩狩峠での突然の車両離脱事故の瞬間、自らの身を投げ出して車両を食い止めようと覚悟した彼の胸に去来したものは一体何だったのだろう。
読了日:1月5日 著者:
三浦 綾子神様のカルテ2 (小学館文庫)の
感想単行本でも読んだが、文庫が出たので再読。信州は松本の美しい自然描写と、対照的に描かれる地方医療の厳しい現実。どの医師も、それぞれに己の信念を胸に秘めてままならない現実を闘っている。どちらも譲れない思い同士がぶつかる時、なんともいえないやり切れなさを感じる。病魔はそんな医師達を嘲笑うかのように道半ばの命を奪っていく。手の施しようがない患者を前にした時、医師ではなく人として何ができるか。綺麗事かも知れないけれど、誰もがギリギリの労働環境下で、いやだからこそ、そのことを考え実行した栗原一止医師に胸を打たれる。
読了日:1月8日 著者:
夏川 草介直感力 (PHP新書)の
感想「直感」とは論理的思考が瞬時に行われるようなものだと著者はいう。「読み」と「大局観」と3つでセットになる棋士の力。本書ではこの直感の磨き方について述べている。一流棋士である著者の思考法の一端に触れられるが、よい意味でこだわらない、それでいて従来通りのやり方でよしとせず一つの道筋を深堀りしてみるといった一見矛盾するあり方を併せ持っているように感じた。
読了日:1月9日 著者:
羽生 善治植物図鑑 (幻冬舎文庫)の
感想単行本で読んだけれど、文庫が出たと知ってさっそく再読。いやー、甘い!道端の草を食んでいるのにどうしてこうも甘いのか。妙齢の女性が行き倒れの男性を同棲させるという突拍子もない設定ながら、移りゆく季節と共に路傍に芽吹く植物達を愛おしむように摘み、食すという地に足の着いた日常描写が素晴らしい。イツキのつくる一工夫もふた工夫もある山菜料理は作ってみたい。特にノビルのパスタ!
読了日:1月10日 著者:
有川 浩ささみさん@がんばらない (ガガガ文庫)の
感想たまたま書店で目についてジャケ買いだったのですが、今期アニメ化するんですね。内容はタイトルから想像していたのと違って、意外にシリアスな面もあり。日本神話になぞらえたキャラクターやエピソードは、個人的には新鮮で面白かった。ささみさんは何となくわかっていたけど、あの人の正体はちょっと驚いた。新房監督×シャフトだというアニメも観てみます。
読了日:1月11日 著者:
日日日武士道エイティーン (文春文庫)の
感想香織と早苗、高校三年生で約束の勝負を果たす最後のチャンスはインターハイ。ところが早苗は稽古中の怪我で個人戦に出場できず…。永遠のライバルがなかなか望むような勝負の舞台に立てないのはよくある話ですが、二人には最高の舞台で再戦して欲しかったなぁ。部活の大会が終わっても、二人の武士道を追求する道は終わらない。早苗は剣道を辞めると言い出したけれど…。果たして、この続きはあるのだろうか。桐谷玄明や吉田先生など他のキャラのサイドストーリーも彼らのこれまで語られなかった思いや意外なつながりを知ることができてよかった。
読了日:1月12日 著者:
誉田 哲也投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識の
感想久しぶりに読んだ投資本だけれど、バフェットが自社の株主総会で配ったというだけあって、彼の投資理念とも多いに通じるところのある良書だった。お手軽なハウツーや確実に利益を上げられる手法などは書かれていない。著者が40年のキャリアの中で築き上げてきた投資哲学、リスクについて知っておくべきことや賢明な投資家が市場に臨むにあたって心がけるべき態度などが綴られている。特にリスクについては金融理論とも違う現実的な解釈がなされていて、参考になった。
読了日:1月14日 著者:
ハワード・マークス自分の仕事を考える3日間 ・Iの
感想西村佳哲さんの著書は何冊か読んだが、本書は2009年に奈良の図書館で開催されたフォーラムで講演をした8人のゲストへのインタビュー集(続編の『供戮發△辰董⊆造呂修譴鮴茲貌匹鵑澄法仕事「論」とか働き「論」ではなく、8人のインタビュイー達の心の中心にあるよりよく生きるために大切な言葉では言い表せない何かを、西村さんのやわらかな文体を媒介にしてほんのわずか垣間見る。自分の中のそれを改めて見つめ直したいと感じる。余談だがスープストックトーキョーの遠山正道さんがMBOで独立した経緯が書かれていて興味深かった。
読了日:1月16日 著者:
西村 佳哲続 ダカフェ日記の
感想ダカフェ日記の続編の、家族の何気ない(?)日常を切り取った写真集。空くんが大分やんちゃになり、しでかすイタズラも前作に増して笑える。一方の海ちゃんはお姉さんらしくなってきたのか、はしゃいだ写真は少なめ。犬の団子も家族に加わって、4人と2匹の生活はとても幸せそう。家族一人一人の表情や仕草もいいけれど、自宅の雰囲気がとてもいい。木のぬくもりを感じる家具で統一されているからだろうな。
読了日:1月17日 著者:
森 友治原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)の
感想齋藤孝さんの他の著書の中でこの本について触れられていて、書店に平積みになっていたので購入。原稿用紙10枚を書く力を身につけるのは、考える力、読書力をつけることになる。まず量をこなすことで質を上げる。「3の法則」は3つのキーコンセプトを見つけて文章の構築力を高める。うまく他の人の文章を引用して文章を組み立てる技を身につける。文体は構築力と対をなし、文章に宿る生命力がにじみ出るもの。この本は読んだだけではダメで、実践して文章をもっと書かないと意味がないな〜。
読了日:1月17日 著者:
齋藤 孝ささみさん@がんばらない 2 (ガガガ文庫)の
感想第一部の視点のトリックが秀逸。第二部のささみとかがみの友情話はツンデレなかがみの陰ながらの献身がいじましい。そして、死んだはずの母とささみの邂逅…。お互いに譲れぬ思いがあったとはいえ、結果として母との誓いを破ることになってしまったささみの心中はいかほどか…。
読了日:1月18日 著者:
日日日さよならドビュッシー (宝島社文庫)の
感想今注目の若手女優・橋本愛ちゃん主演で映画化されると聞いて、まず原作を読んでみた。作中のトリックには割と早い段階で気づいてしまったけれど、それを補って余りあるピアノ演奏シーンの描写力が素晴らしかった。色々粗さはあるけれど、ヒロインのピアノに懸ける情熱、天才ピアニスト岬洋介の魔法のようなレッスン、クライマックスのドビュッシーの月の光の演奏と、解説にもあったけれどミステリーというよりも音楽スポ根として読み応えがあった。最後はちょっと切ないけれど、「永遠の別れ」ではない。続編も楽しみ。
読了日:1月20日 著者:
中山 七里旅猫リポートの
感想有川さんには珍しく、甘さ控えめどころか糖分ゼロの一冊。猫の視点というのがまた変わっている。冒頭から終わりの予感を漂わせているのに、それをわかった上で凛としたナナの態度。悟の優しさが最後の旅で再会する小・中・高校時代の同級生達の心のわだかまりをほぐしていく。最後の別れはベタベタなコースなのに思わず涙ぐんでしまった。
読了日:1月20日 著者:
有川 浩ノマドと社畜 〜ポスト3.11の働き方を真剣に考えるの
感想ノマドという言葉をよく目にするようになったけれど、本書ではそんな日本のノマドブームに警鐘を鳴らし、海外で活躍するノマドが高度な専門技術者であることを説明している。日本のノマドブームは「自己啓発商法」とはよく言ったもので、これから就職する若者はカモにされないような注意が必要だろう。結局のところ、会社の雇用という束縛から自由になるためには、相当な実力がなければやっていけないのだなと痛感。
読了日:1月21日 著者:
谷本真由美(@May_Roma)オリーブオイルと玄米のおいしい暮らし (だいわ文庫)の
感想料理研究家のエッセイ。タイトルがほとんど出落ちなのだけれど、オリーブオイルは汎用性が高いのだなと。しかし最高品質のオリーブオイルなんてそうそう手には入らなそう…。、料理に関わる仕事をしている方だけど、普段の食事は意外にシンプル。野菜をたくさん摂るというのは見習いたい。じゃがいもや玉ねぎを丸ごと蒸すのはできそう。玄米は食べてみたいけどうまく炊かないと続かなそうだ…。圧力鍋にカムカム鍋を入れて炊くといいそうだけど、やれるとしても毎日は厳しい(苦笑)
読了日:1月21日 著者:
有元 葉子ささみさん@がんばらない 3 (ガガガ文庫)の
感想前巻での出来事の後、再び引きこもり…いや立てこもったささみさん。彼女の真の目的は予想外で笑ってしまった。その後の母・呪々の回想は時空間が入り乱れてわけがわからなくなったけど、一度は訣別してしまった母と和解できてよかった。母の娘への思い、鎖々美の決意が感じられた。
読了日:1月21日 著者:
日日日わたしのはたらき読了日:1月23日 著者:
西村 佳哲いま、地方で生きるということ読了日:1月25日 著者:
西村佳哲ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)の
感想表紙のせいでちょっと手が出しづらかったけど、パラパラ立ち読みしてみたら何コレ面白い。ということでそのまま購入して読了。FacebookやTwitterなどのソーシャルサイトのユーザー数の欺瞞やネットビジネスに関わる怪しげな人々の話、1日で作ったウェブサイトが150万円で売れた話、大企業と小規模ビジネスの働き方の違いなどをぶっちゃけているのだけれど、話題も然ることながら著者の文章が飄々としつつも笑いのツボをくすぐって、実にいい。有名なブロガーとのことだが、それも納得。
読了日:1月26日 著者:
村上福之齋藤孝の聞く力 (だいわ文庫)の
感想人の話を聞くことの重要性はデール・カーネギーの名著「人を動かす」などでも述べられているが、それができない人が実に多いというのも現実。本書では人の話を聞く力をつける心の持ちようや手法について説明している。「相手の郷に入る」「寄り添う気持ちを大切にする」「会話を『添いつつずらす』」「過去のコンプレックスを肯定する」「机の真ん中に白い紙を置く」「一般論は禁止」などは参考にしたい。「フェルトセンス」という耳慣れない単語が出てきたが、漫画「NANA」のエピソードでなるほどと思った。
読了日:1月27日 著者:
齋藤 孝斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)の
感想御手洗潔シリーズ2冊目。大掛かりな仕掛けとはきいていたが、思いの外シンプルなトリックで少し拍子抜けした感は否めない。確かに奇想天外ではあるけれども。御手洗の登場が意外なほど遅く、登場したかと思えばキテレツな言動で人を煙に巻く。しかしその言動もある意味犯人追及のための伏線だったとは。一体どの時点でトリックに気づいたのか気になるところではあるが(笑)
読了日:1月29日 著者:
島田 荘司太陽のパスタ、豆のスープ (集英社文庫)の
感想単行本の時からタイトルで気になっていたけれど、表紙のせいで手が出なかった作品。結婚直前に婚約破棄され傷心の明日羽。叔母のロッカさんのすすめでドリフターズリストなるものを作る。特に取り柄もない女性が進んだり後退したりして立ち直っていく辺りはよしもとばななに通じるところがあるけれど、読み進めて文体などはやはり違うなと。太陽のパスタはともかく(笑)、豆の料理は最近自分が圧力鍋を買ったこともあり試してみたくなった。
読了日:1月29日 著者:
宮下 奈都海を見に行こう (集英社文庫)の
感想読書メーターの新年会で頂いた一冊。湘南の海(と思われる)の見える街を舞台にした連作短編集。ハッピーエンドな話もあれば、え、それでいいの?という話も。一話目の「海風」は不安を掻き立てる始まり方で、辻村深月の「鍵のない夢を見る」の中の一編を思い出したが、希望の見える終わり方でよかった。「キラキラ」も、目の付け所がいいなぁと感心。表題作「海を見に行こう」は子供の頃に怖いと感じていた「魔女」との再会を通じて、親子や夫婦の関係を見つめ直す話。コウが泳げなくても海は嫌いじゃない、という感覚は何故か共感できた。
読了日:1月30日 著者:
飛鳥井 千砂「デキるふり」からはじめなさい (星海社新書)の
感想千田琢哉さんの本は久しぶりに読んだ。こういう本は息抜きに読むにはちょうどいい。息を抜きながら読んでいてしかしハッと息を所々で呑んでしまう。自分の師匠を見つけて徹底的に真似をする。そしてどうしても真似できない最後の一線に行き当たって師匠と違う道の続きを進む。タイトルの「デキるふり」というのは背伸びをして今の自分より高い目線に立ち、その水準で物事を考え実行することでいつの間にかそれが自分の身になるということなんだろうと解釈した。
読了日:1月31日 著者:
千田 琢哉読書メーター